君は変わらない (1/2)

突然だった。



キョーヤと一緒に応接室で紅茶(私はミルク)を飲んでいると突然窓が割れて変な包みたいなのが飛んで来てそれがキョーヤに当たってしまったのは。



ボンッと爆発音が鳴り煙りと共にキョーヤの姿と気配が消える…。





『ッ!?キョーヤァ!』


急に雲雀の気配が消えた事にナナは不安になり涙目になる。
まさか、今の爆発で……


ピンク色の変な煙りが薄れていくとそこには人影が。




『!』


「ここは…並中?」




気配も何も感じなかったのにいつの間に!?


そこにいたのはそこいらのマフィアが着ているみたいなスーツを着た長身の男。
その男は周りをキョロキョロと見渡した後視線をこちらにやる。



「ワォ、ナナが小さい…。」


『!?フッ――――!!!』



こやつ、私の名前を何故知っている?ますます妖しい奴だ!!


牙を剥き出して威嚇をしていると男は小さく笑い私と目線が合うようにして膝を付く。
すっと優しく伸ばされた骨張った大きな手は私の長い前髪を掻き上げる。避けようと思えば出来た。攻撃しようと思えば出来た。
でも、何故かそれを私の身体が拒んだ。
この男を避けてはいけない、攻撃をしてはいけない、と…。




男の骨張った手によってナナの長い前髪が掻き上げられ隠れていた黄金の丸い瞳が男の黒く輝く瞳と合う。









『キョー………ヤ?』



気が付けば大好きな彼の名前を呼んでいた。
この男の目を見た瞬間、キョーヤと重なったのだ。



名前を呼べば男は小さく笑い、私の脇の下に手を差し込みヒョイッと持ち上げ胸の中に収める。


抱き上げられた時にふわっと鼻をくすぐった匂い。やはり、この匂いはキョーヤだ!!




『キョーヤァ!!ww』


ガバァッと首に抱き着きぐりぐりと首筋に顔を押し付ける。




「気付くのが遅い。」



初めから気付いてよね、と何処か不機嫌そうに言っているが顔はそんな表情をしていなかった。
自分の首に顔を押し付けているナナの頭を撫でてやる。



すると今の、僕の時代にいる十年後のナナにはないものがこのナナにはある。




それは頭の上でピコピコと動く耳…。



十年後のナナには猫耳なんてとっくに消えているからこの姿をしているナナがとても懐かしく思える。



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