君は変わらない (2/2)
悪戯心からフッと息を耳に掛けると
『ふみゃあぁぁぁ―――――!?!?!///』
ビビビッと耳の毛が逆立つとすぐにペタンと横に垂れた。
「相変わらず耳は弱いんだ…。」
『キョ、キョーヤッ!!』
子供が抱っこを嫌がるみたいに胸板に手をやり自分から離れようと必死なナナの可愛いらしい姿と初々しさに自然と笑みが出る。
「ごめん。からかいすぎたね。」
『みゅ…。』
頬にキスを贈られ大人しくなるナナ。
「…そろそろ5分経つのかな。」
『?』
「5分経つと、今の僕は消えて10年前の僕、つまりこの時代の僕が10年後の世界から帰ってくるんだよ。」
『にゃぅ…』
寂しい…と鳴くと目の前の大人キョーヤはクスッと笑い自分の額をコツンッと私の額と合わせる。
「早く大きくなりな。」
『?』
「そしたら……」
―ボンッ
またもやあの爆発音。
ピンク色の煙がもくもく周りの視界を悪くする。
『にゅ!』
「けほっ…今度はなに?」
『!』
さっきの声とは違ういつもの彼の声…
『キョーヤァ!!』
「…ナナ?」
煙が薄くなるとやはり目の前にはいつもの、私が知っているキョーヤがいた。嬉しくて、私はキョーヤの首に抱き着く。
『キョーヤァァ!!!(泣)』
「っと……なに泣いてるの。」
う"ぇっう"ぇっ、と泣きながらキョーヤの首筋にぐりぐりと頭を擦り付ける。
そんなナナの頭を撫でる雲雀。
先程の大人キョーヤも同じことをしてくれた…。
やっぱり貴方は、10年経っても変わらない……
私の知っているキョーヤだッ
『にゃう……ひぐっ…みゃぁっ…』
― もう、キョーヤに会えないかと思った… ―
「………。」
その言葉が伝わったのか、ただ静かに私の頭を撫でていた。
「僕が君を残して何処かに行くわけないでしょ。」
『にゅ…』
「それに何処かに行くとしたら君だろ。」
ひょこひょこと迷子になるし…。
『ぐみぅ……』
ペタンッと耳が垂れる。
「………そういえばここに誰か来た?」
『!キョーヤ!』
「…やっぱり10年後の僕が来てたんだ。ナナの言った通りだね。」
『みゅ?』
「クスッ…君も、早く大きくなりな。」
軽い口付けをくれたキョーヤに訳も分からずに頷いた。
次.雲雀視点→
(大きくなるんだよって言ってもまぁ僕が大きくすればいいか。)
(みょ?)
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