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TITLE ありがとうの言葉 『むぅ〜………これはどうしたものかな?(汗)』 人気のない道に一人立っている杏雫。 先程一緒に居た筈のお幼馴染みの紺が居ないのには理由があった。 それは10分前の出来事にさかのぼる…… ――10分前―― 人込みの中、紺に肩を抱き寄せられたまま歩く杏雫の姿があった。 『紺、さっきはゴメン…』 いきなりの謝罪に紺は目を見開く。杏雫は顔を下に俯かせたまま何も言わない。 第三者から見れば何故急に謝るんだろと思うだろう。 しかし長年の付き合いの紺には何故杏雫が謝ったのかが分かっていた。 ふっと微笑んだ紺は下に顔を俯かせている杏雫の頭に手を置き、髪をクシャクシャっと掻き乱す。突然の紺の行動に杏雫は驚く。 『狽ネ、何すんだよ!』 「謝るな」 『………??』 「謝るな。お前の事だ、どうせ人前で俺に抱き着いて迷惑かけたとか思ってんだろ?」 『ぅ……(汗)』 図星だった…、人前で紺に抱き着いてしまって彼に迷惑をかけてしまったのではないかと不安だった。 『だって……いくらなんでも皆の居る前で…』 「だーから、もう言うなって!(思い出しちまうだろ!!///)」 『……ゴメン。』 「…ハァ……違うだろ?」 『ぇ?』 「こうゆう時は謝るんじゃなくて“ありがとう”って言うんだよ。」 『あり…がとう?』 「そ、」 『そっかぁ…………ねぇ紺!!』 「あ?」 『ありがとう(にこっ)』 「っ!!!////」 着物の裾を掴んで自分より背の高い紺を見上げる形で微笑む。 その純粋な杏雫の笑顔に不意打ちを喰らった紺は顔を赤らめる。 っいきなりは反則だろっ// 口の中に含んでいた飴をもごもごと甘噛みする。因みにこの飴は杏雫から貰った(押し付けられた)もの。煙草を吸ってると肺ガンになる!とか言われて煙草を没収された。 その替わりに渡されたのが今口の中にある棒の付いた飴だ。 たしかチュッパチャッ○スってやつだったか? 『紺?どうした??』 「いや、何でもないっ//」 まだ熱のある顔を背ける。鈍感なこいつには何を言っても無駄だ。 小さい頃から杏雫は他人からの好意に気付かないで育ってきた。今もそう…… こいつは俺の事を異性として見ていない。 兄と一緒にいるって感じなんだよな……… 自分で言っていて悲しくなってきた紺は小さくため息をつく。 ――杏雫side―― 目の前では溜息ばかりついてる紺の姿。 具合でも悪いのかな?(素)もしかして人酔い!? そうだよね、いくらCGでもいっぱい人がいると酔っちゃうよな!!(勘違い) 杏雫は何かを探すような素振りで周りを見渡す。 あ、あった! 目的のものを見付けると走ってそこに行く。 ボクはその後………何も言わずに紺の傍を離れた事を後悔するとも知らずに彼の傍から去った………… 次⇒ |