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34.一番怖いもの








梵天は知らずうちに杏雫の頬に手を滑らせていた。




『ッ!!!!!』


ビクッと身体を揺らせて脅えを秘めた瞳で俺を見る杏雫。
一体何が君をここまで追い詰めたのか……気になるよ。









横から梵天の手が伸びてきて反対側の頬に触れた瞬間…ボクは昔の記憶が甦り身体を硬直させた。


心に刻まれ、身体に刻まれた…あの記憶が。





―人に触られるのは苦手だ。苦い記憶を思い出すから。

―人と話すのは苦手だ。
ボクの壁を壊すから。


―人を信じるのは苦手だ。


裏切られるのが…怖いから。





そして…一番怖いのは











今のボクの気持ちだ。



誰かを愛する事。





梵天を好きになってしまったボクの心。もう、心なんてあの時に沈めたはずだった。そう、あの時から。



なのに此処に来てからどうだろう?梵天に会ってから彼等を信じたいと…彼等ともっと一緒に居たい、もっと沢山話がしたい!と思ってる自分がいる。




自分が自分で失くなっていくようで怖い…っ!









ボクは………どうしたらいい?どうしたら……助けて…………………紺っ




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(ボクには彼が必要なんだッ…)


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