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銀髪










頭の下になにか柔らかい感触を感じ、ふと目が覚める。瞼をゆっくりと持ち上げて目を開くと。



「!!!」



…杏雫……?



目を開けて一番に見えたものはなんと壁に頭を預け気持ち良さそうに寝ている杏雫の姿だった。



「………。」



なにがなんだか分からず、じっとしていると窓から流れ込んでいる月の光が杏雫の銀色の髪を輝かせていた。
キラキラと輝く杏雫の髪が美しいと思った。まるで天女を絵画にしたような美しさ。綺麗な顔付きな彼女に合った髪色だ。




よく見ると頭の下に感じていた柔らかい感触は杏雫の膝だった。
何故こうなったのかを思い出すため頭をフル回転させる。
…そういえば露草と空五倍子の馬鹿共を部屋から追い出した後に眠くなって……








そのまま寝てしまったのか。




目線を杏雫の顔に向け寝顔を見る。
……睫毛長いな…
そんな些細な事を考えつつ本当に俺はどうかしてると改めて思う。
人間の女にここまで心動かされるとは……
あんなに笑ったのは久しぶりだった。
この不可思議な気持ちはなんだ?
まだ名前のないこの気持ちがわからない。
分からない気持ちで胸が苛々する。



だが杏雫の寝顔を見るとそんな苛立ちも消え失せてしまう。



サラリと銀色の髪を撫でる。





「…………。」



アイツと同じ、髪の色。




『鶸……今日はとても良い天気だよ。ほら…おいで?』





アイツと同じ目の色、
アイツと同じ手つき、
アイツと同じ匂い……




杏雫の全てが、アイツに繋がる……



君は何者なんだい?
何故君はこんなにも……






こんなにも、アイツに似ているのさ……
そう心で訴えながら、また瞼が重くなってきた目は閉じられ、夢の世界へと導かれるようにして眠りに落ちた。





END


(アイツはもう、いないのに…)





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