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瞳に映るのは光か闇か








あれから一週間の日が経ち、傷も癒えた頃に梵天に部屋に来いと呼ばれ今彼の部屋にいる。




「大分傷は癒えたようだね。」


手の平に顔を乗せてボクの前に座っている梵天。



「背は痛まなぬか?」


『うん。ありがと空五倍子!お蔭さまで体は大丈夫!』



彼の隣で立っている鳥のような顔をしてる大柄な人は空五倍子といい、彼と自分もまた妖なのだと梵天に教えてもらった。


最初は妖怪とかそんな架空な者を信じられなかったがボクはその架空だと思っていた妖怪に襲われ、目の当たりにしたのだ。
実際に見たものを……拒否する事は出来ない。



でも空五倍子はボクの傷の手当をずっとしてくれた優しい人ですぐに打ち解ける事ができた。梵天だって襲われていたボクを助けてくれた優しい人だ。
妖怪にも悪い者と良い者がいるのだと分かる。


……梵天と空五倍子は妖怪なのは知ったけど…二人が妖怪ならボクが目を覚ました時に部屋にいたあの男の子も、やはり彼等と同じ妖怪なのだろうか?
目を覚ました時に一度会ったぐらいであれから全く彼を見かけない。


………避けられてる?





「空五倍子!」


梵天の声で思考が戻る。


「うむ、では梵、杏雫を頼むぞ。」



まるでどこぞの父親が娘を任せるみたいな言いように奴が出て行った戸を見て思わず溜め息。

アイツ、この娘が可愛くて仕方がないようだな。
まるで自分の妹か娘の様に可愛がっている。
手当てをしていた間に随分と仲良くなったものだ。






戸を見ていた目を前にいる娘に目線を変える。

さて……そろそろ始めるか



「近くに来い。」


『?』



術を使うのには離れすぎている女を呼ぶ。なんの警戒もなしに近寄ってくる女に少し驚く。
その俺の顔を見て女は首を傾げた。



『どうしたの?』


「いや、今から君の左目の視力を俺の術によって戻す事はできないが、見えるようにすることは出来る。それでもいいかい?」


『……(こくり)』




梵天の問いにボクは首を縦に振る。目が見えるようになったらやりたいことがあるから。
それはボクがずっと考えていた事。



「なら目を閉じていろ。」


『わ、分かった。』



言われた通りに眼を閉じると閉じられた左目に梵天の手が触れドキッとする。
男の人の手が今自分の顔に触れている…そう考えるだけで胸の鼓動が高鳴り顔が熱くなる。
今まで紺以外の男性には触れられたことがないから正直今の体勢が恥ずかしい…。

分からないこの不可思議な気持ちに戸惑いを感じ、この気持ちは一体何なのだろうと考えていた。
名前の分からないこの気持ちはまだ答えに出せない。




「少し痛むが我慢しろ」


『っぅ……!!!』



言われるかいなかに左目に電撃が流れたみたいな痛みが走る。
一瞬だけの痛みで終わり左目から温もりが離れた。
離れたと同時に聞こえる彼の声…



「よし、目を開けてみろ」




ゆっくり目を開ける。
映るのは闇か、それとも光りか………さぁ、どっち?



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