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TITLE 少年と男の人 「どうやら目が覚めたみたいだな」 『ぅ?』 何が何だか解らなく布団の上をぼーっと眺めているとまた美声ともいえる男性の声が聞こえ、縁側の方を見ると青年がよっ掛かっている方とは逆の方向の廊下から現れた。 黄緑色の髪を右の方で団子にしていて左の方は一束の髪が肩からサラリと滑る。ボクが意識を失う前に見た男の人だ……。 『あ、あの時の人?』 「へぇ…ちゃんと俺の事は覚えていたか。」 話す手間が省ける、と言い部屋に入ってきた。 壁に寄り掛かっていた男の子は彼を見るなり不機嫌そうな顔をして口を開く。 「あんたが来たならもう俺は必要ないだろ?」 「あぁないな。」 「(怒)」 『(うっわ、即答で答えたよこの人…ほら、少年Aの顔が般若になってる;;)』 あっさりと言われ今度こそキレた少年Aは床を踏み鳴らしながら部屋を出て行ってしまった。 彼が出て行った廊下を見ていた杏雫に気付いた梵天は彼女に話をふる。 「あの馬鹿の事は気にするな。それより聞きたい事がいくつかある。君に拒否権は無い。」 『あ、はい(この人俺様だなぁ)』 男の人は真っ正面の壁に腕を組みながら寄り掛かり、話しを続ける。 「まず名前はなんてゆう。」 『淕骸 杏雫。』 「冷静だね。」 『……今は焦っても、どうにもならないと思うから…』 「賢明な判断だ。(妖笑)」 口角を吊り上げ不適に笑う男の人。それが妙に様になっているのがある意味怖い。 本当はかなり頭の中が混乱してて冷静に保っているのがやっとなぐらいだ。 でもここで焦ってばかりではどうにもならないことは分かっている。だから聞かなきゃ…ボクは今どのような状況になっているのかを……。 誰かが知っているから良いではなくて自分自身が知っていないといけない。 だから一歩。ボクは歩く。 『ボクも貴方に聞きたい事があるんだ。』 次⇒ (馬鹿じゃない奴は嫌いじゃないよ。) |