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懐かしい気配








「この気配……」



サァアアっと風がふく中、梵天は家の縁側に立ち尽くしていた。
何か………懐かしい気配を感じる。




そぅ、彼女と同じ気配を…









「梵、先程から縁側に突っ立っておってどうしたのだ?」


「空五倍子…」




目だけを右に向けた。
それと同時にある気配を感じる。






―――夜行だ……




「空五倍子!今から下町へ向かう。行くぞ!!」


「わ、分かった!!」




――バササ



梵天を腕に抱えた空五倍子は背に翼を生やして下町の方まで飛んでいった。











空五倍子に抱えられたまま梵天は考えていた。

別に夜行が誰を襲っていたって俺には関係ない。ましてや襲われている奴を助けてやる義理さえない。いつもの俺だったらそうしている。
が、今は何故か、今襲われている奴を助けなくてはいけない……そう思った。



そうしなければ昔亡くした人の時のように……後悔するような気がしたから。





暫く飛んでいると人気のない場所で夜行達を見つけた。鵺が女の首に前足を押し付けている所だ。
女の方は必死に酸素を喉に通らせようとしている。

女の方は無事なようだな。しかし夜行の奴…随分とあの娘を気にかけている……



どんな奴か顔を見てやろうと顔の方に視線を持っていく。(助けろ)















「っ!!!??」




そこで俺は何故この女を助けなくていけないと感じたのか……心に感じていたその思いが、女の顔を見て理解した。









―― 似ている



そう、今襲われている奴が自分の亡き友に似すぎていた……
髪の長さや目の大きさなどは違うが似ている。
特に髪の色――白銀の髪色を持つ奴なんて早々いない。白銀の髪を持つ奴はアイツ以外俺は見たことがない。それだけではない、容姿も似ているが一番似ているのは女の気。
あの女とアイツの気が一緒なのだ。



アイツから貰ったピアスが風に揺れてしゃん、と音をたてる。
はっと考え直す。
しかしアイツが此処にいる筈がない…。
俺の目の前でアイツは………





死んだんだから。








あの女を詳しく調べてみる必要があるな、と思い空五倍子に下に降りるよう命じた。




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