失ったもの (1/3)


クローナ躯髏により召喚された無数の大蛇に覆われているマーモン。


しかし藍色の眩しい光が放射されるとマーモンに巻き付いていた蛇が呆気なく弾かれた。
だんだん術士同士の戦いらしくなってきた所でマーモンはふっと笑い。



「僕もそろそろ力を解放するよ。君の正体はその後でゆっくり暴こう。」



畜生道から抜け出したマーモンを見て次の攻撃を仕掛けるために躯髏は頭の上で槍を一回転させガッと槍の底で地面を叩いた。



その瞬間、体育館の床から火柱がいくつも燃え上がる。
マーモンはその火柱を直に受けたが簡単に抜け出してしまった。




『(!!術が、効かない…?)』


「確かに君の幻覚は一級品だ。一瞬でも火柱にリアリティを感じれば焼けこげてしまうほどにね。ゆえに弱点もまた、」



宙に浮く小さな身体をくるりと回し、









嫌な感じが肌を伝いヒシヒシと感じる。








「幻覚!!!」


『―――っ!』




マーモンの顔が空洞になりそこから吹雪が吹き荒れる。
周りにあった火柱も一瞬にして凍ってしまうほどの強力な幻覚でリボーンとコロネロすらそれにかかってしまった。




「躯髏……」




雲雀の口から出る白い霧は寒さを表す。



躯髏はただ目の前の現状に驚き、目を開いていた。
こうも簡単に…私の術が跳ね返されるなんて…





「幻術とは人の知覚、すなわち五感を司る脳を支配するということ。術士の能力が高ければ高いほど支配力は強く、術にかかる確率も高まりより現実感を持つ。」




強い、この藍色の術士…。
こんな強力な幻覚を生み出すなんて…


寒いはずなのにひやりと頬に流れる冷汗。
まるで強い圧力をかけられているかのように身体が動かない…。
彼から、目が離せない――――





「そして術士にとって幻術を幻術で返されるということは……」


『!』



足に違和感を感じた躯髏は足元を見ると氷が膝上まで覆っていた。






「知覚のコントロール権を完全に奪われたことを示している。」





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