霧の守護者 (1/3)



―ザッ




『着いた…。』



夜の並盛中の校門前には三人の男女の影。
クローナは目の前の学校を見上げる。



「ちっ、なんでまた、ここでやるんだびょん!」

「…めんどい。」



その後ろでは怠そうにポケットに手を突っ込んでいる犬と眼鏡を中指で持ち上げている千種。

三人はこれから始まる戦場に、向かった。





今夜、ついに…戦いが始まる。



骸様や、犬や千種の為に……三人の大切な人達の為に、私は戦う。












――――――




体育館の方に向かえば光が外まで漏れている。
ここで、闘うんだ…。



千種と犬が私を隠すように前に出て先に中に入った……私はその少し後からして中に入る。


中に入ると何やら騒がしくなっていたけれど、
犬と千種の背中しか見えないため誰がいるのか分からない。




「う…うそだ……霧の守護者って………ろ、六道骸!!!」



骸様の名前が出た瞬間にに初めてここで口を開く。



『……Lo nego(否)』



静かな体育館に響く小さく、鈴を転がしたような声。

犬と千種の前に出てバサッと羽織っていた黒曜中の学ランを投げ捨てる。




『Il mio nome e' Chrona(我が名はクローナ)、クローナ躯髏。』





突然現れたクローナにツナ達は目を見開き見る。
髪型や眼帯、そしてあの武器は六道骸を思わせるけど……




「六道骸じゃ……ない!?」



その声のした方を見れば茶髪の人がこちらを見て驚いていた。
あの人が、ボス……。
私が従わなければいけない存在。


ボスは雨の人に、私と知り合いなのかと尋ねられていたけど知らなくて当然。
だって私とボスはこれが初対面だから。




「霧の守護者って……この娘………六道骸じゃ、ない?」


「騙されないで下さい!!そいつは骸です!!」


次に叫んだのはボスの隣にいる嵐の人…。
嵐の人は鋭い眼光で私を睨み付ける。



「骸が憑依してやがるんです!!目的のためなら手段は選ばねぇ!あいつはそういう男です!!」


『……。信じてもらえないのね。』



そう言えば、骸様から頂いた三叉槍とこの眼帯が怪しいと言っていた。
三叉槍は確かに骸様の物だけど……眼帯は、右目が無いからしょうがない…。


クローナがそんなことを思っていると彼女を見ていたツナが、



「六道骸じゃ………ないよ……。」



そう言い、確信を持ったツナの言葉に獄寺は信じられないような目でツナを見る。
千種はその様子を犬の隣から見ていた。



「そ、そーなんスか!?」


「いや…あの…何となくだけど……」



嵐の人に再度問われてボスは焦っている。
そんなボスの元へひょこっと近付き、



『かばってくれるんだ……ありがとボス。』



ちゅと挨拶を兼ねてボスの頬にキスをする。
その瞬間嵐の人が何してる!と聞いてきたからあいさつ、と答えた。
何故か後ろでは犬も嫌そうに顔を歪めている。





「ふざけんな!!10代目から離れろ!!!」



顔赤らめ騒ぐ嵐の人を雨の人が抑えていた。
イタリアでは頬にキスをするのが挨拶だと骸様から聞いたのに、違ったのかな?





その頃ヴァリアー側では現れたボンゴレ霧の守護者が女だとゆう事に少しの驚きを見せる。



「へ―――あれがね……もっと仙人のじーさんみたいのが出てくると思ったな。女かよ。」



何を想像していたのか分からないベル。



「よ……妖艶だ…」


頬を赤らめクローナを見るレヴィ。



「…ファンタズマが興奮してる。」



頭の上では鼻息を荒くして戦う気満々の蛙を乗せたヴァリアー側の霧の守護者。




「やはり敵の守護者は特殊な人間のようだな。」


声を若干低めにして相手を警戒するマーモン。







次→


(いよいよ、霧戦…)

- 32 -


[*前] | [次#]


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -