接触 (3/3)



黒曜から並盛に来てしばらく歩いているとその男は簡単に見つかる。
見回りをしているだけなのかただ真っ直ぐ前を向きこちらに向かって歩いていた。



骸もゆっくりと歩き出す。





少しずつ


二人の距離が縮む。




「………。」



静かにゆっくりと距離が縮まる。
そして雲雀恭弥の横を通り過ぎる瞬間、







『クフフ…また強くなったようですね。』


「…!」



聞き覚えのある声に雲雀は振り返ろうとした。
が、頭から足の指先まで金縛りにあったみたいに身体が動かせない。



骸が力を使い雲雀の身体を動けないようにしていたのだ。




今はまだ、彼に気付かれる時ではない。




「くっ…」



何とか振り返ろうとしているのか術に反発してくる。
今彼の顔は身体が動かないことに苛立ち、眉間に皺を寄せているのだろう。


骸は雲雀に背を向けた形、互いに背を向けたままで話すことにした。




『日向透……』


「!」



ハッと息を呑むのが空気を通して伝わる。
骸は声には出さず、喉の奥でくつくつと笑う。
この並盛最強と謡われた男、よほどこの身体の持ち主、透が気になるらしい…。





「何故その名前を……」



以前感じた殺気より遥かに増した鋭いものになっていた。




クフフ…また彼とは戦いたいものですね。






『明日の守護者戦…』


「!」


『それに来れば…彼女、日向透の事が分かりますよ…』




少し、外に長くいすぎた。
クローナの身体の為と明日の戦いの為にも今日はこの辺で退散致しましょう。




これは貸しですよ…





雲雀恭弥……







クローナの姿が消えると同時に雲雀を縛っていた術が解ける。
すぐに後ろを振り向いたが現に声の主は消えていた。



「………。」




雲雀は黙って誰もいない道を睨む。
そこにいたであろう場所には何もない。
何者だったんだ?



声を掛けられた瞬間、身体が金縛りにあったみたいに動かなくなった…。後ろを振り返りたくとも指一本も動かせない。
あれは何か術をかけられたんだ。




術士、その言葉に奴を思い出す。





汚い手で僕を陥れて不本意ながらにそいつに負けた…






あの男、






「六道…骸…ッ!!」


今思い出すだけで腹わたが煮え繰り返る。
初めて感じた敗北感。
しかしあれは正当な勝負では無かった。
桜さえ、無ければッ…。



ついこないだの事の様に思い出し拳を強く握る。
そこでふと、先程の会話、雲雀は話していないから会話とは言えないがそれを思い出す。







『明日の守護者戦…』



『それに来れば…彼女、日向透の事が分かりますよ…』









「……。」



あの戦いを知っていた…。さっきの奴は草食動物と赤ん坊の知り合いなのか?


変なリングを賭けての戦い。
それは僕には関係無いし勝手にやっていればいい。



だけどそれを僕の学校でやるってゆうのが気に食わない…。








「………彼女を知りたいなら明日来い、て事ね。」




彼女の名前を知っていたとゆうことは知り合いなのだろうか。

すっと瞼を下ろし目を閉じる。
目の前に浮かぶのは数日前に見た悲しげに笑う透の顔。










『これ以上……私を、知ろうとしないでっ……』







苦しげにそう呟いた透。



彼女の行動、言葉は自分の存在を僕に知られたくないようだった。





だけど透。



僕は君を知りたい。





絶対に君を、




手放したり、裏切ったりしないから。





本当の君を




僕に見せて欲しい。






END




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