幻覚の内臓 (2/2)
リボーンは躯髏が持っていた骸の武器の残骸を見て納得していた。
「それで幻覚のコントロールを失い腹が潰れたんだな。」
「じゃ……じゃあ本当にあの娘内臓がないの!?」
リボーンとツナの会話を聞いていた犬と千種が顔を青ざめる。
このまま内臓が無い状態では彼女は死んでしまう…。
内臓が無い躯髏は苦しげに息を吐きながらもあの日、自分を救ってくれた言葉を意識が朦朧としている中で思い出していた。
「透……透…」
『骸様……?』
「僕には…君が必要です。」
目の前に骸様の姿が霞んで見えて、腹に廻していた片手を解き目の前に映る骸様に血の付いた手を精一杯伸ばす。
自分は、助けて頂いたのに、その人に何も返せないで終わりたくないっ。悔しい涙と悲しい涙で頬に一筋の涙を流す。
『骸……様……ごめ…なさ………力に…なりたか…った…』
伸ばされている手は力無くふるふると震えている。
無力な私で…ごめんなさい。
私はただ、骸様の力になって犬や千種に幸せになってほしかった……
初めて出来た、私の居場所であり、私を受け入れてくれた人達だったから…。
ごめんなさい、
ごめんなさいっ……
骸様…
躯髏は静かに瞼を閉じる。
その目尻から一粒の涙が零れ落ちた。
―クフフ…上出来でしたよ。
かわいい僕のクローナ。
君は少し休みなさい…
END
(伸ばしていたその手を、誰かの優しい温もりが包んでくれた気がした…)
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