失ったもの (3/3)



躯髏の叫びは虚しくも響き、弾けた音を奏で三叉槍はゴナゴナに砕け散ってしまった…。




「!」


「ッ……!」



躯髏の槍が砕けたのを見た犬と千種が冷汗を流して彼女を見る。
二人は知っていた。
彼女が三叉槍を手放せば、どうなるかを……。
それは何を意味しているのかも。





躯髏は槍が跡形もなく砕けると急に喉の奥とお腹が熱くなり、生温い液体が喉を逆流し口の中を犯す。
その感覚は、以前にも感じたことのある感覚。






『!!』




―ゴフッ



止めることの出来ない液体に口に手を宛てると指の隙間から赤い液体が出る。それは真っ赤な血の色………




「躯髏ッ!!」


『ゴホ、ゴホッ!っ、うっ!』


「え!?えぇ!?」



突然大量の血を吐き吐血した躯髏にツナは混乱し、雲雀は彼女に駆け寄ろうとするがそれをリボーンに止められ目の前にある赤外線センサーがあることに気が付き行く手を阻む。



「ッチ!」



黙ってここで、彼女が苦しむ姿を見ていなきゃいけないのかっ…


躯髏は完璧に床に座り込み両腕を腹に廻し辛そうに顔を歪めている。そんな彼女の姿に歯を食いしばり見る雲雀。



『うぅ…』



身体に力が入らずそのまま力無く後ろに倒れてしまった。
…苦しいっ、痛い……
…お腹が……熱いッ

荒い呼吸と共に身体の力が抜けてゆく…






「ど…どーしたんだ!?」


「顔が土色に…」


「お……おい!あれを見ろ!!腹が!!」



急な異変にツナ達は慌てる。先程まで立って戦っていた子が血を吐き倒れた。
一体彼女の身に何が起こったのか?

そんな疑問を抱えていた時に了平の言葉に皆が躯髏の腹を見る。




―ベコッ



「腹が沈没していく……!!」




そこには普通では有り得ない光景があった。
そのあまりな光景にツナがこれも幻覚なのかと言うが、





「ムム……これは現実だ………。どーなっている?何だ、この女…」



術士であるマーモンにも躯髏に起きている現状に頭を悩ませていた。








近くで…敵の霧の守護者とボスや皆の声が聞こえる…。
私が倒れる瞬間の時も……微かに聞こえたあの声……




「躯髏ッ!!」








そして、










あの日、私がクローナ躯髏になる前に聞いた、














あのサイレンの、音が………








『む………さま……』




薄れゆく、意識の中で聞こえた気がした…










END



(何度も繰り返す、音…)


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