霧の守護者 (2/3)
騒ぐ獄寺を山本がまぁまぁとなだめていると先程クローナ達が入ってきた体育館の入口からまた別の人物が顔を出す。
「……躯髏。」
『……!』
「ヒバリさん!?」
「げっ、アヒル…!」
突然の来門者にツナ達は唖然とし、あの事件以来彼が苦手になっていた犬はまたもや嫌そうな顔をしてヒバリを見た。
一度も争奪戦に顔を見せに来なかったヒバリが今、ここにいる。
しかも何故かクローナの名を呼び彼女を知っていた。
「え、あ、なんでヒバリさんが、クローナを?」
自分達が知らなかったクローナをなんでヒバリさんが?と不思議に思い聞いてみるが、
「君には関係ないよ。」
バッサリと話を切られてしまった…。
雲雀はそのままツナを無視して躯髏の方まで近付く。
躯髏は前の一件で雲雀にどんな顔をしてどう接すればいいのかわからないでいる。
そう思ってる間にも雲雀は躯髏の目の前まで近付くが、
「……!」
『あっ…』
「……。」
「てんめーアヒル!なんの用だびょん!」
躯髏を守るようにして犬と千種が二人の間に入る。
自分を守るように間に入った二人の姿に躯髏は大きな瞳をぱちくりと見開く。
『犬、千種……。』
「君達…前に僕が倒した奴だね。弱い草食動物に用はない。」
すっと雲雀さんの目が細められたことに気が付き慌てて二人に声を掛けた。
『!犬、千種!私は、大丈夫だから……。』
「Σんなっ…!」
「……犬、」
納得出来ていない犬を千種が制服の端を掴み引っ張って行ってくれた。
ありがと、千種…。
そして雲雀さんを見る。
「久しぶりだね、」
『…ひ、ばりさん……』
透の名前を呼ばれてからなんでだろ、この人が私の中にいる…。
『……なんで。』
さっきの話しを聞く限り、彼は今までのこの戦いに顔を見せに来なかった。それが何故、今日に限って来たのか……
そう意味を込めて彼を見る。
「君の事を知りたいなら…ここに来れば分かると聞いた。」
『え…』
誰に?と聞こうとしたが頭の隅に何故か骸様の姿を連想した。
まさか、骸様が――?
『あ、あの……!』
「行っておいで。」
『!』
「この戦いが終わるまで、待ってるから…。」
優しく笑って私の頬を撫でる雲雀さんの姿に生れつきでもあるけれど無意識に頬が赤くなる。
こくん、と顎を小さく引いた彼女から手を離し、彼等と群れるのはごめんだから少し離れた場所に行く。
「で、どーするのだ?仲間に入れるのか?」
「なっ、入れるわけねーだろ!こんな何処の馬の骨だがわかんねーよーな奴!!!」
了平と獄寺の会話を聞いていた犬の眉間に皺が寄り、
「んあ?てんめー聞き捨てなんねーびょん。」
躯髏を否定され今にもガージリッグを口に嵌めそうな犬とヘッジホッグを構える千種。
今ここで二人がボンゴレの守護者達と戦えば折角骸様がボスのお父さんと交わした契約が無効になってしまう…っ!
それだけは避けたかった私は二人に向き直る。
『犬…千種おちついて。あなた達が決めることじゃない。』
そう、これはボスが決めること…。
ボスが承諾してくれなければ私達は戦うことすら出来ない。
その視線に気付いた二人はぐっと歯を噛み締め武器を終う。
躯髏は二人に向けていた視線を目の前にいるボスに静かに戻す。
『ボス、私霧の守護者として失格?』
ぎゅっと槍を握りながら聞く。心なしか、槍を握る手が震えている。
これで失格と言われたら、私のせいで犬と千種、骸様が助からない!!
契約は無効になってしまうッ…
骸様の苦労が無駄になってしまう……
『私は霧の守護者として戦いたい……けど、ボスがどうしてもダメって言うならそれに従う…。』
骸達の為に、戦いたい。でもそれはボスが決めること。悲しいけど、彼に従わないとそれもまた契約から背くことになってしまう。
ツナは躯髏の言葉に迷っていた。
この娘からは骸の気配はしない。
でもそれに似たような気配をしているのもまた事実。
それに女の子をこんな危険な戦いに出してもいいのだろうか?
「そ、そんなの急に言われても…」
「でも霧の守護者として戦える奴はクローナしかいねーぞ。」
頭を悩ませているツナに山本の肩にひょいっと乗ったリボーンが口を開く。
確かにリボーンの言う通りかもしれない。
山本と獄寺君のように、父さんが選んだ子だから何かあるんだろうけど………
それにこの娘…
「…じゃあ、たのむよ。」
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