名前 (1/3)
今日は並盛町まで足を運ばせていた。
理由は並盛町にある、有名なケーキ屋さんがあると聞いたから。
名前はたしか"ナミモリーヌ"とかだったっけ…。
その有名なケーキを二人に食べさせてあげたいと思った。
ケーキを買った躯髏は腕に抱えたケーキを早く犬と千種に食べさせてあげたくて走っていると小石に躓く。
『ぁ…!』
「っと。大丈夫?」
地面に落ちるはずだったのにお腹に廻った腕がそれを阻止してくれる。
だれ?と後ろを見るといつぞやか会った男の子…。
『……あ、』
そう、昨日見た夢に出てきてネコさんの時に一緒にいたあの時の人……
「さっき僕の前を走って行くのを見てもしかして、と思ってね。やっぱり君だった…。」
嬉しそうに口角を上げて私を見る彼にお腹に廻った腕をじっと見ているとそれに気が付いてくれた彼は腕を離してくれた。私はその中から離れて学ランの人に向き直り、
『ありがと…。』
助けてもらったお礼を言う。
まさか、また会えるとは思わなかった……。
ぺこりと頭を下げていると雲雀はくすりと笑い。
「嬉しいな。また君に会えて。」
『――え?』
躯髏は顔を上げ雲雀を見た。
「君にまた会いたいと思ってたんだ。」
『……なんで?』
「…最初は、君が弱い草食動物かと思っていた。」
そーしょく?
「でも君は何か、隠しきれない才能を持っている肉食動物の匂いがする。」
脳ある鷹は爪を隠すってね。と不適に笑っている雲雀に躯髏は匂い?自分が肉食動物?と色々疑問が浮かんでいた。
「僕の名前、覚えてる?」
『…ヒ、バリ…さん。』
あの時助けてもらった時、不良さんもそう言っていたから間違ってないと思う。
思った…が、何か違ったのか眉間に皺を寄せる。
「……本当は名前で呼んで欲しかったけど…今は雲雀でいいよ。」
『…雲雀?』
こて、と首を傾げた。
「僕の事を知らないなんて…君変わってるね。」
『…有名なの?』
そう聞けば軽く笑われた。
「僕は並盛の秩序だ。」
……私と同い年ぐらいなのに…すごいな、と思って見ていると不意に彼の目が細められる。
「君の名前、前に聞いた時は教えてくれなかったけど今度は教えてくれる?」
どうしよう…
…
名乗っていいのかな…。
『……クローナ…躯髏。』
名乗れば案の定クローナ躯髏とゆう名に雲雀さんは片眉を上げていた。
私はまた頭をペコッと下げてから身体を反転させて帰る為に走った。
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(何故かこれ以上、彼といてはダメだと思った。)
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