雲雀恭弥 (2/2)



驚いて目を見開いているといつの間にか私の隣に膝を付き、子猫の頭を撫でる。
子猫も嫌じゃないのか嬉しそうにしながらご飯を食べている…。





「…この猫、君の?」


『!………(ふるふる)』


不意に声を掛けられビクッとするが質問の答えを返すため首を横に振って否定。
彼はそう、と言いネコさんの頭を優しい手つきで撫で続ける。




「いつも来てるのかい?」


『…ネコさん、お母さんがいない…から。』


「…だから君が毎朝学校に向かう前にここへ来てこの猫に餌を与えてる、って事か。」




今度は首を縦に振り肯定。だけど、何故この人ここにいるのだろう…



『あの…』


「ん?」


『なんで…ここに?』



彼も地に座り込んでて目線が同じ位置にあるため首を傾げながら聞く。
学ランの人はネコさんから一瞬私の方に視線をやったがすぐにネコさんに戻す。




「さぁね…なぜだろう。何故か、君が気になってね。」




気が付いたら君の後を追っていた…。そう口漏らしていた。




不思議……今まで人と、ましてや男の子とこんなに話たの初めて…。
嫌だったのに、この人の前だと口が勝手に話す…。
なんでこんなに打ち解けてるんだろう。




『あ、学校……』



時計を見るとかなり時間が経っていたことに気付き走っていかなければ間に合わない。慌てて鞄を胸に抱える。


そのまま路地裏を去ろうとするとねぇ、と呼び止められた。
くるっと顔だけ後ろにやる。




「雲雀恭弥、僕の名前。君の名前は?」



名前?ヒバリ、キョウヤ……
でももう会うこともないだろうし…






『…私の名前、知らなくていいよ…』



それじゃ、と言って今度こそ学校に向かう為その場を後にした。




「クスッ…面白い子だね。また会いたいな…。」








そんな一つの出会いが、


骸様達と会う前に、あった………




END


(結局あの人……誰だったんだろ…)

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