涙の温度 (5/6)



消えてしまいたかった。骸様の力にもなれず、
犬と千種からには嫌われ、もう今度こそ自分には居場所がないのだと知った。
彼等の力になれないのなら、この命があっても仕方がない…。
必要とされないこの体があっても、意味がないのだ。


自分では駄目、彼等にはやはり骸様じゃなければ……私じゃ、駄目…。



私は、あの人の役に立つ所か力にさえ成れない。こんな事じゃこれから先にある戦いなんて到底役に立つことなんて無理。



あの人に報いる事が出来ないそんな自分が悲しくて、悔しくて、辛くて………消えてしまいたかった…っ






そんな事を思いながら闇の中をさ迷っていると何故か犬が現れた。


なんでここに犬が……
と思ったがすぐにその疑問は消えて彼の顔を見たら罪悪感に襲われる。




何も出来なくて、ゴメンネ。



そしてまた私は深い闇の中へと身を沈めた。














透が精神世界の奥にいるその頃、犬は千種と合流していた。




「犬…彼女だ。」


「あぁ?」



静かに話す千種に犬は一体何の話だ、と踏ん反り返っていると次の千種の言葉に身を固める。







「……彼女だったんだよ……………もう一人の、骸様は…。」




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(気付くのが、遅すぎたっ…)



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