奇跡と出会い (3/3)





家の前に着いた透は鍵を取り出し久しぶりに家の中に入った。


ギィィ…と古い扉を開けるみたいな音。
両親は滅多な事がない限り家にはいない。
家の中に入ってみればやはり静かで電気すら着いてない。
私が死んだ事になってから、両親は家に帰って来ていないらしい…。


寂しさなんて無い。
そんな感情は昔に無くしてしまった。
何が悲しくて、何が寂しいのかなんて分からない。産まれてからずっと、同じ環境にいたから。




台所に立ち、冷蔵庫を開けると私が家を出る前のままだった。
材料はそれなりにあり、お弁当を作るのには十分ある。



透はお腹を空かせているであろう二人を思ってお弁当を作った。






『…できた。』



出来たお弁当を学校に使っていた鞄の中に押し込みそれを持って家を出た。




『…………。』




お弁当を作って家を飛び出したのはいいが、

彼等の居場所が、分からない……




どうしよう…犬と千種が死んじゃう。



そんな事を頭に巡らせていると、





―透、



『!骸様!?』



頭の中で直接骸様の声がした。




『骸様、何処にいるの?』



―クフフ…僕はまだ、そちらには行けません。
…透、黒曜ヘルシーランドとゆう場所に行きなさい。




『黒曜、ヘルシーランド…?』




確かあそこは廃墟になった………!



身を隠すにはあそこが、ちょうどいい…





『骸様!ありがと…』



―では後は、犬と千種をお願いします。透、頑張って下さい。




その言葉を最後に骸様は消えた。
骸様、閉じ込められて苦しい中で、私の所に来てくれた…




『黒曜ヘルシーランド……。』



鞄を胸に抱き抱えて彼等がいるであろう場所に向かって走る。




『早くしないと…死んじゃう……』




いつもよりも、速く走った。




END


(犬、千種…死んじゃダメ……)




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