冷えた心 (2/2)
骸様に助けて頂いたあの日から二日が経つ。
病院を抜け出した透は白いワンピースを着て、医療用の眼帯を付けて黒曜を歩いていた。
歩きながらの日、骸に言われた事を思い出す。
「透、透…。」
『!骸、様?』
「透、早速ですがお願いがあります。聞いてくれますか?」
『っ…はい!』
「クフフ…ありがとうございます。……僕には二人、仲間がいます。」
『仲間……。』
「彼等を見つけて一緒に行動して下さい。」
『骸様は、それを望むんですか?』
「はい。そしたらお前は一人じゃない…。彼等の力になってやって下さい。」
『…はい!』
「二人の名前は柿本千種と城島犬です。」
―頼みましたよ、僕のクローナ……
はい、骸様……
『……まず、二人を探さなくちゃ…。』
白いワンピースを風に靡かせて二人を探しに歩く。とりあえず近くから探そうと歩いていたら八百屋で安く林檎が売られているのが目に入る…。
そういえば、犬と千種は何も食べていないのかもしれない。
そんな考えが頭に浮かび林檎を何個か買って店を後にした。
八百屋で林檎を買った紙袋を抱えて二人を探しに公園まで来たのはいいけれど……
誰が犬で誰が千種なのか……わからない。
『犬、千種……何処にいるの?』
探す手掛かりがない事には二人を見つけるなんて出来ない…。
骸様、やっぱり私は…貴方の役に立つ事すら出来ないのでしょうか?
―頼みましたよ、僕のクローナ…
!駄目!諦めちゃ駄目。骸様の役に立つって決めたんだもの…!
犬、千種……
ハァ、と紙袋を胸に抱き寄せる。
ぎゅっと抱きしめていると公園の中から「骸さん…」と呟いている人がいた。
骸様の名前!
ハッとして周りを見渡せば公園の芝生の上で足を投げ出しで寝転んでいる金色の髪をした男の子…。
恐る恐る近付いてみると彼は目を閉じて眠っていた。眠っている彼の側に寄って座る。
『…………犬?』
彼の名前かもしれない名を呟きフサフサな頭を優しく持ち上げて己の膝の上に乗せ彼が起きるのをじっと待っていた。
END
(多分……この人が…犬だと思う…。)
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