地獄か楽園か (4/4)







―……不思議…全部、聞こえる。




二人の会話を聞いていても別に悲しくは無かった。
愛されていなかった事や必要とされていなかった事ぐらい当の昔に、



知っていたことだったから……。











あぁ、私…死ぬんだ。




おかしいね…




なんだか、少しだけ…



ほっとしてる……





やっと…終わる……





私は日向透として産まれたのに、何を理由に何の為に生きてきたのかすら分からない、半端な命だった。
いつもこのつまらない日常が早く終わればいいのにとも思っていた。



この広い世界で私一人が消えても誰も気付かないし誰も、悲しまない。


でも、これでやっと、




やっと、終われる……





全てに終わりを告げようとまた瞼を閉じようとした時、























「終わるものか…巡るばかりさ。」




――誰……?




お医者さん?


耳に聞こえてくるのとは違った、直接脳に響く声に透は閉じかけた瞼を開く。




「おや?僕の声が聞こえるのですか?」


―!!





「クフフフ……散歩はしてみるものですね。」





END


(生死をさ迷っている中で聞いた…優しい声。)

(クフフフフ…さぁ、新しい物語の始まりです。)



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