私の前で僅かに揺れる、光を受けて輝く柔らかい金髪に相変わらず嫌味なほど似合ういつもの貴族のような装い

まるでエスコートされてるみたい、なんて今日は幾分かメルヘンチックな思考に侵されている日のようだ



ノロノロと歩みを進める私を半ば強引に引っ張って歩く彼に感じる違和感


例え今の姿がどう頑張ってもにんげんにしか見えなくても(しかもかなりの上物)、あちらさんは魔界からやってきた悪魔なのだ

真の姿はデカい蝿だったりしちゃうのだ



それなのに彼は決して私を闇に連れて行ってはくれなかった


むしろこうして、まるで私を世界のこちら側に留めようとするかのように私の手を引く



全く変わった悪魔もいたものだ



少し笑ったら気分を害したのか、笑うなと言わんばかりに少しだけ握る手の力が強くなった



そんな彼が無性に可愛らしく感じて今度こそ大笑いしたら、ベルゼは歩みを止めて振り返り、咎めるように私を睨んだ

しかし次第にそんな彼もその険しい表情を崩して、柔らかい笑みが一つ






ああ、闇に溶け込める日は遠そうだ

再び歩き始めた彼について行きながら背後の影を振り返り、小さく苦笑して手を降るしかなかった








堕天の烙印が刻まれたのは
(そうして私は彼と歩みを共にする)(このやり取りがもう何度目か数えるのはとうにやめたけれど)