「何でミ−が掃除しなきゃいけないんですか−?」

フランが美術室で文句を言うも、誰も居ないので返事は返って来なかった。掃除用具を持たされ、目の前には緑色に汚れた床と壁がある。

「誰がやったか知らないけど、てめぇの尻拭いくらいてめぇでしろって感じなんですけど−。」

授業で居眠りをしたとか、先生が禿げに見えるような悪戯をしたとか、色々とイチャモンを付けられて、今しがた汚れたという美術室の掃除を命じられた。気にくわない。

「この一面緑の絵を描いた人が犯人か。こういうのって裏に名前書いてあったりしないのかな−。」

美術室の隅に犯人の痕跡を見付け、ボ−ドの裏面に回ってみる。こういうのボ−ドじゃなくて何て呼ぶんだったっけ?キャンセル?思い出せないのでボ−ドで良いという結論に到る。

「あ、あったあった。え−っと、名字名前?」

こいつは学校で見付け次第、幻術で大量の蛇でも作り出してプレゼントすることに決定した。

「それにしても見事に緑だな−。こういうシンプルなのミ−は嫌いじゃないですけど。でも緑だけじゃシンプルすぎでしょ−?」

当たりを見渡すとペンキの缶を見付た。蓋を開けると広がる赤色。美術室だけに色はいくらでもあった。茶色の缶を見付けボ−ドを見る。何か閃いて、手にしたモップを投げ出した。

「枯れ木に花を咲かせましょ−!」

筆なんて使い慣れていない面倒な物はいらない。自分の指があれば良い。指にペンキを付け、緑色のボ−ドに色を塗った。