カミュ蘭




カミュが紅茶に何杯も砂糖を入れるのを見て、蘭丸は眉をしかめた。もはや数えるのが億劫になるほど砂糖の入った紅茶は、見ているだけで胸やけを起こしてしまいそうだ。
蘭丸はそっと目を逸らして、窓の外を見やった。生憎と空は暗く淀んでいて、月は見えない。カミュに視線を戻して蘭丸は内心ため息をついた。
(よくそんなモン飲めるよなぁ)
カミュはその甘ったるそうな──もはや紅茶とは呼べないほど砂糖の入った──飲み物を実に満足気な顔で飲んだ。まるでこれこそが至高であるかのように。
カミュの喉仏が静かに上下して、蘭丸はふいに昨日の出来事を思い出した。

汗ばんだ肌
立ち込める熱気
劣情を浮かべた瞳

骨張った大きな手で俺の顔の輪郭をなぞって──



──お前は俺のものだ



「どうした?」
蘭丸は我に返って慌てて目を逸らした。向かい側のカミュが怪訝な顔をしてこちらを見ていた。
「なんでもない」
言えるわけがない、昨晩の事を思い出していたなどと。
蘭丸は赤くなった頬を隠そうとそっぽを向いた。
「なんでもないという顔ではないだろう」
「うるせぇ」





その後
本で頭を叩かれる→「…っ、いってェ…」→本から視線を上げると、涙目の蘭丸と目が合った。コンタクトがずれたんだよとぶっきらぼうに蘭丸が言う。→ふん、斯様なものをつけずともお前の目は美しいだろうにどれ見せてみろなんだまつげが入ったのかいいから早くとれよ→カミュがむらぁってきて裏へ(笑)

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