終始無言のナツに違和感を覚えながらもこの辺りで仕事をしていたビックスローの道案内によって無事森を抜ける。
仲間の元へ合流すれば、開口一番安堵の声と共にエルザとグレイが心配そうに駆け寄ってきた。

「ルーシィ!!」
「大丈夫か?」
「平気!心配かけちゃってごめんね」

大袈裟に心配する二人に苦笑しながら答えれば、安心したように笑みが漏れる。
同時に、後ろの見慣れた仮面に気付いたのか疑問を投げかけるような眼差しで首を傾げた。

「何故ビックスローがここにいる」
「た、助けてくれたの」

至極当然の問い掛けにおずおずと状況を説明すれば、珍しい偶然もあるものだと納得をするエルザ。
その様子を仮面越しに見下ろして、彼は再び愉しげに口角を上げる。

「大変だな。俺に助けられたばっかりに」
「あのね、感謝してるのよ!大怪我じゃ済まなかったんだから」

飄々とふざけ続けるその風体にびしり、と指を向けて。
もうすっかり消えた不安を思い返して威勢よく答えれば、呆れたような溜息ひとつ。

「ま、地面に直撃しなくてよかったな」

ぽすん、と金糸に置かれた手が慣れない重さを感じさせて。
普段触れてくることもない人物なだけにルーシィは思わず目を丸くした。

「なんだ、嬢ちゃん」

意外だ、とでも言うような表情に歪んだ笑みは消えて。
心外だ、とでも訴えるように大袈裟に肩を竦ませて言葉の先が紡がれた瞬間、勢いよく金糸が揺れる。

「な、なに!?」
「無事だったんだからもういいだろ」

掴まれた肩が強く引かれて、ナツが怒気を含んだ声で会話を遮った。
帰んぞ、と告げて唯只管力任せに歩を進めていく。

「痛っ…ちょっと、ナツ!」

驚きながらも焦ったようにルーシィは彼の名を呼ぶが、返答はなく。
困惑したようにグレイとエルザを振り返るも呆気に取られたようにナツの行動を眺めているだけで、口を挟む時間などなかった。

「もうっ…ナツってば!!」

聞く耳持たない状態で場を離れようとするナツへ反発していたルーシィも諦めたように溜息ひとつ。
嘆息すると小走りにナツの背に倣った。
眼前で繰り広げられた遣り取りを茫然と眺めて、ふたつの背中を見送るとビックスローは口許を歪める。

「若いってのはいいねぇ」
「そういう問題か?」

呆れたようにグレイが肩を竦めて、溜息を吐き出すとからからと愉しそうな笑い声が森に響いて。
状況が飲み込めないエルザとハッピーは先に行ってしまった二人に首を傾げた。


》to be continue.
***
漸くナツル+ビックスローになった。

Back




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -