昼下がりの日曜日。
幼い頃から一番近くで時を過ごしてきた二人。
変わることのない関係はいつまでも続いて。
男女の差なんて存在していないようでゆっくりとその芽は育ち始めているんだ。
いつものように部屋にやってくるルーシィ。
「ね、今度の休み遊園地行かない?」
ベッドの上に寝転がりながら雑誌を片手に笑う。
それまで黙々と机に向かっていた顔を上げて、椅子の背を倒した。
「いいけど。もしかして、特集やってたの?」
唐突な誘いに疑問を抱きながらも振り向くとひらひらとページが踊る。
「そ、今人気のアトラクションとか気にならない?」
にこにこと楽しそうに笑いながら特集を読み上げる彼女は既に行った時を想像しているようだった。
「…ルーシィ、恋人いないの?」
「失礼ね」
いないけど、と頬を膨らませるその姿は何年経っても愛おしいと感じてしまう。
「でもロキだっていないでしょ!」
びしり、と指を指されて思わず苦笑した。
(僕はいないんじゃなくて君だけでいいんだって)
「でも不思議よねぇ」
思い出したように首を傾げるルーシィ。
「あ、女の子みんなに平等に優しいから恋人できないのね」
ふふ、と満足気に笑みを浮かべて自身の答えにひとり納得している様にくすり、と笑みが零れる。
視線は雑誌に注がれたまま紡ぎだされる言葉の数々は幼さを残す彼女らしい。
「で、僕のお嬢様はどこに行きたがっているのかな」
打ち終わったレポートを保存して、ノートパソコンを閉じる。
ベッドの端へ腰掛けてふわり、と金糸に手を乗せて微笑みかければ無邪気な笑顔が返されて。
「ここよ!」
そうやって楽しそうに身振り手振りで表現する君。
窓の外は青い空が広がっていて。
春麗らかな気候が梅の薫りを運ぶ。
穏やかな日差しに触れた金糸を混ぜて、眼を細めた。
君だけはいつまでも特別…―――。
fin.
***
お題使用:【教師と生徒の恋模様】:平等…だけど君は特別
挑戦設定:『幼馴染』の組合せで『ほのぼの』を目指して頑張りましょう。
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