※Cait Sith Whisker:歌海ねこ様ロキル祭提出作品『すれ違いざまに』の後話設定。***
学校終わりのいつものバイト先。
いつもよりも少しだけ忙しくて、いつもよりも早い時間までだった。
制服をロッカーに入れて帰り支度を整えていると休憩に入ってきたロキと出くわす。
「あれ?もう上がり?」
「え…?う、ん」
「そっかぁ…」
残念そうに呟いた声がやけに耳に残って。
不意にあの言葉が甦った。
『―――こんどデートしようね?』
あれから特に何かを言われるわけでもなく。
必要以上のスキンシップもない。
ただ、気にかかるのはバイト仲間に言われた意味深な言葉。
『ロキってルーシィと全くおんなじシフトだよね』
言われて気付いた。
確かにいつも入っているときには必ずロキがいて。
それがいつの間にか当たり前のようにも感じていた。
熱く火照る頬を手の甲で冷やしながらどこかで期待している自分。
(な、なんであたしが…っ)
「ねぇ、ルーシィ…?」
「な、なに?」
焦った気持ちを誤魔化すように笑顔で振り向けば―――。
とん、と壁に押し付けられる。
ふわり、と独特な甘い香りが鼻先で熱く交わった。
「…―――な、なに…?」
目を見開いて、自身に起きたことを理解しきれないまま言葉を絞り出す。
ひくり、と喉が引き攣った気がして。
それでもロキはいつものようにふにゃり、と笑顔を崩さない。
「んー、いつになったら気付いてくれるかなぁと思ってたんだけど―――。」
限界だ、と低い声が耳元で囁かれた。
切なげに響いた声にびくり、と身体が強張る。
「…あ、あの…わ、わたし…」
「好きだ」
これ以上ないほどに密着した状態で追い打ちをかけるように続けられる告白に思考が止まった。
「ルーシィも…僕のこと好きだろ?」
目を細めて合わせられた視線は確信めいていて。
ずるい。ズルイ。狡い。
どこまで信じていいのか全然わからない。
本当に、わからない。
それなのに…―――。
「……す、きよ」
初めて口にした言葉はまるでずっと前から用意されていたみたいだった。
「うん」
くすり、と勝ち誇ったような笑みが零れて。
引き寄せられるように更衣室に押し込められる。
「ち、ちょっと…ココ休憩室…っ」
「そうだね」
「な、何考えて…―――っ!」
「限界だ、って言ったろ?」
その先は初めてのキスと一緒に飲み込まれた。
休憩室の外から聞こえるざわめきに融けて視界は彼で埋め尽くされて。
甘美な愛撫に溺れる…―――。
fin.
***
お題使用:【教師と生徒の恋模様】:どさくさにまぎれて
挑戦設定:『アルバイト先の先輩後輩(社員含)』の組合せで『R15で雰囲気えろ』を目指して頑張りましょう。
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