「つーか、嬢ちゃんこそ他の連中はどうしたよ」
「見ての通り、でしょ?」

徐に首を傾げて周囲を見回すビックスローに溜息ひとつ。
困ったように肩を下げて苦笑すると辺りへ視線を移した。

「それよりも、ここどこなの?」
「森の中だろ」
「そんなことは…―――っ!」

投げやりな口調にむっとして口を開けば、不意にばさりと草木が揺れる。
反射するように思い切り振り返った先には見慣れた桜髪と青い仔猫の姿。

「ナツ!?ハッピー!!」
「ルーシィーーーっ!!!」

驚きと安堵が入り混じった声でその名を呼べば、ぽすんとハッピーが飛び込んできた。
きゅぅ、と確かめるように青い仔猫を抱き締めて、ルーシィはほっと胸を撫で下ろす。

「心配したよー!ルーシィ怪我は?」
「平気。ビックスローが助けてくれたの」

小さな頭を宥めるように撫でて長身の仮面へと振り返ると同じように後ろへ視線を向けたハッピーが首を傾げた。

「ビックスロー?」

疑問の色が浮かんだ眼差しを受けて、彼は溜息ひとつ。
にやり、と愉しげに口許を歪めると陽気な口調で仔猫へ視線を合わせる。

「嬢ちゃんが空から降ってきたからな」
「災難だったね」
「この猫ちゃんは口が減らないわね」

気の毒そうに言葉を発したハッピーの頬を掴んで、ぐいぐいと引っ張りながらルーシィは先程までの不安や緊張が解けていった。

「ナツも、ありがと」

もうすっかり軽くなった気持ちのまま振り向いた先にはいつものような笑顔はなく、険しそうな目が仮面へと向けられている。
珍しいと感じながらも静かに立ち止っているナツへ近寄って、ルーシィはその表情を覗き込んだ。

「ナツ?」
「あん?」
「え、と…ありがとね」

その名を呼んだ瞬間、和らいだ空気に安堵して首を傾げながらも礼を述べれば、曖昧な相槌が返される。
射抜くような眼差しの先を見遣れば、敵意すら含むその意図を知っているのか。
彼は大層愉しそうに口角を引き上げた。


》to be continue.
***
もはやカップリングってなんですかって感じですね、わかります。
でもビックスローが好きだから仕方ない。

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