炎の熱と氷の冷気が混じり合った生温い空気。
伸ばした手。
寸前で掴み損ねた指先。
ゆっくりと離れる距離。

「くそ、早くルーシィを探さなきゃいけねぇっつーのに…」

苛々と募る感情をそのままに吐き出して、ナツは眼前に立ちはだかる豚のような巨大猿を睨んだ。
悲鳴と共に落ちたルーシィの後を追って飛ぼうとしたところへ運悪く現れた魔物。
両腕に炎を纏い、勢いをつけるように足へ力を入れて臨戦態勢が整う。

「お前はいいから早くルーシィ追えよ」
「うむ。ここは私たちに任せろ」

両手を合わせながら氷を造形させるグレイ。
鋭い眼差しのまま即座に換装するエルザ。

「あん?コイツ倒してからでいいだろ」

何言ってんだ、と半眼でふたりを見遣って。
ばしり、と両の手の拳を鳴らせば、青い仔猫が不安そうな声を上げた。

「でも、ルーシィ怪我して動けないかもしれないよ?」

まともに落ちたら怪我では済まない。
少しだけ焦ったように耳を震わせて、ハッピーが翼を広げる。
その様に躊躇うように唸って、口を開けば苛立った声でグレイが追い打ちを掛けた。

「ひとりで心細がってるかもしんねぇだろ」
「早く行け」

有無を言わさずそれだけ告げて、戦闘に入ったエルザの言葉を最後にハッピーはナツを持ち上げて飛び立った。
生い茂った緑の木々。

「こりゃ大怪我じゃ済まねぇな」
「…ナツ、上からルーシィ見つけられる?」

思いの外、低くもない高さに呆れたようにそう零せば、小さな相棒は微かに相槌をして心配そうに問いかける。

「んー…あの辺。降りてみてくれ」

ナツは可も不可もない返答をして方向を示すと僅かに過った不安を打ち消した。
なんとなく、そこにいるような気がして。
徐々に近付く木々の葉を避けながら地面へと降り立つとくん、と鼻を鳴らす。
嗅ぎ慣れた匂いを探して眼を凝らして、微かな甘い香りを辿って道とは言えない草木を掻き分けて進めば、聞き慣れた声が小さく聞こえてきた。

(ん?この声、ルーシィと―――誰だ?)

首を傾げながら確信している声の主を探し当てて、がさり、と開けた空間へ抜ける。


》to be continue.
***
なっちゃんてルーシィのことあんまり心配しないよね。
「虐められてたら―」て言うことはあるけど。

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