熱く混ざり合う吐息。
空間を支配する静けさに響くのは雨音だけ。
肌を滑る指。
絡まり合う髪。
しっとりと浮かぶ汗が暑さを強調する―――。

「あ、つい…―――」

ぺたり、と張り付く金糸を撫でて。
暑さを訴えるその身体を更に強く引き寄せた。

「グレ、イ……暑いってば」

ぐぐ、と小さく反抗する掌を包み込むように抑えつけて。
羞恥で赤くなっているのか。
気温の所為なのか、判別しかねる朱に染まった耳へ口付ける。

「グ、レイ…ってば」

ふるり、と震えた感触に気を良くして。
知らず口角が上がった。

「あ?つーか、暑くねぇだろ」

ひんやりと心地好い温度で触れる指先。
低く、零される吐息。
上昇する体温と密着して交わる温度。

「で、も……ちょっと、ち、近過ぎる」

必死に紡ぎ出す声が熱く混ざり合って。
微動だにしない腕に手を掛ければ愉しそうにグレイが笑う。

「っとに、純情だよな。お姫様?」

くっく、と喉で笑う音すら肌に響いて。
跳ねる心臓にくらり、と眩暈がした。
逆流するように波打つ鼓動が身体中を麻痺させる。
ぎゅぅ、と強く絡まる指先に呼吸を止めて。
瞼を閉じて、意識を誤魔化せば。
容赦なく落とされる柔らかな感触。
掬っては混ぜられる金糸。
微かに震える耳。
固く結ばれた口許。
露わになっている首筋。
小さな音を立てて淡い色を咲かせていった。

「ん」

促すように顎を持ち上げて。
触れる吐息に耐えきれずにゆっくりと瞼が開けられるのを待つ。

「い、じわる…よ、そういうの」

懸命に睨みあげるその表情は幼さに艶やかさを醸し出して。
思わず漏れる苦笑を留めて、惹かれるままにその吐息を呑みこんだ。


fin.
***
コンペイトウ*プラクティス:ナギハラ ミズキ様へ

ナツル不足に伴いサプライズプレゼントでナツルを送って下さったナギハラさんへ思い余って告白しに行くのに手ぶらで行くわけにもいかなかったのでグレルを包んでみた。

なんというか、只管に甘いを目指してみました。
いちゃいちゃ、というよりべたべた?

少しでもにやにやして頂ければ幸いです。


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