出逢いは必然。そう信じてもいいと思った。
只ひたすらに求め続ける熱。
零れ落ちる吐息。
息継ぐ間もなく飲み込まれる声。

「や、ま…って」
「待たねぇ」

噛みつくような口付けに何も考えられなくなる―――。
くらり、と視界が揺れて。
促されるように触れた桜色を弱々しく引っ張った。
きゅ、と強く掴んだ指先。

「ナ、ツ…くるし、よ」

熱い熱い腕の中で溶けていく思考。
惹き寄せられるままに触れて。
肌に馴染む熱が焼けるように見えない印を刻んでいく。

「ルーシィが、甘いのが悪い」

少しだけ苦しそうに歪めた表情に息が止まった。
混じり合う熱に甘さが増して。
絡み合う掌が滑るように情欲の跡を滴らせる。

「あ、つい…ナツ」
「ルーシィ」

朦朧とした思考に浮かぶ本能に従って。
解放されない熱を逃がすように身体を捻った。

「逃げんな」

一瞬だけ肌を撫でる夜気。
心地良いと思った次の瞬間には、再び熱に閉じ込められる―――。
覆い被さる胸板が自身の身体と全く異なることを強調して。
急に浮かび上がった不安に恐怖が駆り立てられた。

「ナ、ツ…―――っ」

こわい、と模った唇は音にならずに零れ落ちて。
漏れた吐息に混じって涙が溢れて流れる。

「―――…泣くなよ」

苛めてるみてぇだろ、と囁く声も普段より低く響いて。
艶めいた甘さを帯びて。
触れる指先が、ゆっくりと柔らかな肌を滑った。
信じられない程に丁寧に撫でる指が、掌が、確かめるように白い肌を辿って。
合わさる視線に全身が痺れる。
媚薬のように混ざり合う甘い吐息。
煽られる不安と同時に込み上がって麻痺していく感覚。
考えることを放棄して。
ただ只管に、想いのまま求め合って。
まるで必然のように溺れていくんだ―――。



熱を帯びた夜に溺れる


fin.
***
07.04-09.08*clap:移転前の拍手お礼。

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