身体中が意志に反してどんどん熱くなる。
いつだってこの腕が側にあって、熱を纏う掌が新しい世界と感情を導いてくれた。
陽だまりのような温かさを帯びるこの想いが特別なものだって、本当は随分前から気付いていたのかもしれない。
悔しそうに眉を顰めて、唇を噛むナツを目の前にルーシィは込み上がってきた感情を唐突に理解した。
同時に動揺した心を悟られないように顔を逸らして、会話の続きを紡ごうと声を絞り出す。
辛うじて告げた言葉は会話の終わりを指すもので、返事を聞く前にルーシィは勢いよく身を翻した。
次々と蘇るナツの行動が冷静な思考を乱していく。
鼓膜に響く鼓動の音がこれまでの疑問を確信へと変えて、理解した感情を突き付けてきた。

 (ナツが……ナツなのに、今までのってもしかして…―――?)

混沌に渦巻く感情にきゅ、と眼を閉じて、足を踏み出せば、急に手首が引っ張られる。
周りの景色がゆっくりと動いて、瞳を見開いた先には困ったような縋るような表情のナツ。
愛おしいと心が叫んで、側にいたいと身体が求めて、心よりも身体よりも想いが全てを支配した。

「離れんな……全部、ルーシィの所為だからな」
「……え?」
「だ、から…ルーシィが、俺以外の奴と―――」

声が、響く。
互いの瞳に映るその頬は真っ赤に染まっていて。
その視線に呑み込まれそうだ、なんてぼんやりと思考の片隅で感じながらナツは息を止めた。
空洞を訴えていた心は流れ込んできた感情で満たされて、混沌と渦巻いていた靄は嘘みたいに消えていく。
これが違和感の正体。
疑問を浮かべた時から既に決まっていた答え。
胸を掻き乱す理由はたった一つで、それは今まで自然であり、当然であったこと。
唐突に理解したその想いにナツは盛大に溜息を吐き出した。

「―――あー、俺……そっか」
「何、一人で納得してるのよ」

弱々しく言葉を紡ぐルーシィの頬は未だに赤くて、この想いはきっと自分だけのものではない。
そんな感覚に思わず口許が緩んで、掴んだ手首から手を離すとぴくりと揺れた掌に指を絡め直す。

「帰ろうぜ!」

満面の笑みでそう言えば、ルーシィはおずおずと頷いた。
まだ、もう少しだけ。
確信した想いは自分だけのもの。
握り締めた掌から熱が伝って、互いの温度が混じり合う。
どうして、なんてそんなことはきっと―――気付く前から解っていた。



大好きなんだ
それが素直な気持ち


→ おまけ。(ナツルビックスロー的)
***
漸く完結させました。
長い間、本当にお付き合いありがとうございます。

why he`s me:どうして彼は私を。

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