おまけ


「…の、……かっ」
「あ?」
「ナツのバカー!」

聞き取れなかった言葉を確かめようと覗き込んできた顔へ、見事に食い込んだ右ストレート。
ばき、と派手な音を上げると共にごろんと転がったナツを、肩を小刻みに震わせながら睨みつける。
ルーシィには、赤くほてった頬を隠す余裕もすでにない。

「イッテェな!な、なんだよルーシィ!」
「何を考えてるのよ!あんたは!」
「あぁ?なにってなんの事だよ」
「熱を冷ますとか、汗をかくとか、一体何をしようとっ」
「は?そんなの、何でもいいだろ」
「何でもってあんた…!」
「そうだなー。マラソンはさすがに暑いから家の中でやる筋トレとか」
「………え。筋…?」
「でもそれだけじゃ鈍っちまうから、やっぱり外を走るか!」
「あー…、外を。…運動を、ね……」

完全に自分のはやとちりだと気付き、違う意味で赤くなり始めた頬をごまかすべく視線を外し天井を見上げる。
いくら何でもナツがそんな含みのある表現を使うなんて、するハズなかったのだ。
こんな事を考えたと知られたら、まるで私がいつもそんな事を思っているみたいだ――…。

「どーした?ルーシィ」
「ななななんでもな…っ」
「そうか?さっきより顔赤くねぇか?」
「きっ、気のせいよ!」

慌ててタオルを抱え直し“早く帰れ”と念押しして脱衣所へと駆け込む。
ドアの外からはまだ不満げな声が響いてきていたが、…それよりも。

「あーもぅ、余計に暑くなっちゃったじゃない!」

ぱたぱたと手を振り、見事に赤く染まった頬へ風を送る。
この後も部屋に居座り続けているであろうナツに、一体どんな顔を向けたらいいのか。
更に頬が赤くなる鏡の中の顔へ、ルーシィは悔し紛れにイーっと歯を向けながらふっ、と。
振り回される事にすら、心地好さを感じている自分を少しだけ笑った。


***
やっぱりこんなふたりがナツルー^^
ルーシィはなっちゃんに振り回されていればイイと思うv

ありがとうございましたーーーっ!!!

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