「あなたたち最強チームの4人とハッピーが、横一列に並んでいるとするわね。そして、次の説明は彼らから見て、の話よ。

ハッピーの2つ右にはルーシィがいるの。そして、エルザはハッピーの左右どちらかよ。
グレイはルーシィの左で、ナツはハッピーの左右にはいないわ。
それから、グレイとエルザは対称的な位置にいるみたいね。

……じゃあ、ここで問題。向かって左から順番に、5人はどう並んでいるかしら?」


カウンターから身を乗り出したミラジェーンが、ニコニコと笑ってこう言った。彼女の目の前に座っていたナツとルーシィは、急なクイズに目を瞬く。
訳が分からない、と言いたそうな2人を見て、ミラは更に笑みを深めた。


「何も言わないでいいのよ、暇つぶしだから。そうね…でも、クイズに当たったらこの昼食代はチャラにしてあげる」


ストローをマドラー代わりに回していたルーシィが、首をかくりと落とす。暇つぶしだから、という言葉が『暇つぶし(に、あなたたちで遊んでいるだけ)だから』の略なのだと言うことに気付いたのだろう。
理解力のある彼女に、ミラは何も言わず肯定を示した。

にこにこ。そうして口端をヒクつかせる彼女を微笑んで見つめてやれば、ルーシィの瞳に浮かぶは諦めの色。
恐らく、いくら暇つぶしに遊ばれるのだとしても、昼食代が浮くならば悪くないと思ったのだろう。バッグからペンとメモを取り出した彼女は、俄然やる気を出して考え始める。
常識人なのにこういう事に本気になるのが可愛いわよね、とミラはその様子を笑顔で見守った。


「うーん…ハッピーの隣があたしで、ナツとグレイが隣?でしたっけ?」

「違う違う、ハッピーの2つ右がルーシィよ。それで…」


それから、暫く。
全てを書き留めたルーシィがメモとにらめっこを始めている。元よりそんなに難しい問題ではないし、これはクイズというよりも簡単な文章問題だ。彼女が答えを導き出すのは時間の問題だろう。

そうして悩むルーシィを楽しげに見ていたミラは、ふと彼女の隣に座るナツに目を移した。
すると案の定というか何というか、彼は全く興味なさげにファイアパスタを啜り続けている。
恐らく、考えるより早く身体が動く…本能で動く彼はこういった遊びが苦手なのだろう。本当はちょっぴりおバカさんなナツの素っ頓狂な回答を期待していたのだけど…と、そこまで思って、ミラは自分の考えに小さく吹き出した。


(ふふふ、ナツだもの。考える遊びをするなんて元来無理な話よね)


それはそれでとても失礼な話だが、彼女の心の声にツッコむ者は勿論いない。


「ん!できた!できましたよ、ミラさん!これでどうですか………って、え?なんで笑ってるんですか?」

「なんでもないわ、こっちの話よ。さ、答えを見せて」

「はい」


結局ナツやルーシィをからかって遊びたいだけのミラは、弛んだ頬をやんわりとした笑みで誤魔化して。彼女からメモを受け取ると、それにサッと目を通した。


「ルーシィが一番左で、その次が…そうそう、簡単すぎたかしらね。一番右がナツ…そうよ、これが正解」


頷きながら口に出せば、出された答えは勿論正解。
ルーシィはクイズが解けた嬉しさと、昼食代がチャラになるというダブルの嬉しさに目を輝かせる。


「やったー!ミラさん、約束通りチャラにしてくださいね。御馳走様です!」


彼女の悩む顔を見、ナツを心の中でからかい、ミラはまぁまぁ満足していた。それにこうして暇つぶしにもなったのだし、約束を守ることなど造作ない。


「ふふふ、しょうがな」

「ハズレだ、ハズレ」


……が。
しょうがないわね、と言葉で肯定を示そうとしていたミラの声に、若干不機嫌なナツのそれが重なったではないか。
この話には口出しすらしないと思われていた彼からの発言に、ルーシィとミラは驚いたように顔を見合わせた。


「あら、どうしてハズレなの?」

「そうよ、ミラさんは正解だって言ってくれたじゃないの!」

「あン?例え答えとして合ってたとしても、俺はそんなん絶対に正解だなんて認めねーからな」


そうして2人が問いかけるも、彼から放たれるのは何とも理不尽な言葉。
ルーシィはひくりと口元を歪ませると、ずいとナツへ詰め寄った。アンタ言ってる意味わからないわよ、と。

確かにミラもこの時点では、彼の言葉の意味は分からなかった…けれど。その次の言葉を聞くや否や、「まぁ」と感嘆の言葉を声に出して深く納得したのであった。


「つーかなんで分かんねーんだよ。俺とルーシィが端同士なんて、隣じゃねェなんて、そんな答えハズレに決まってんじゃねーか」


ルーシィの口が幾度もぱくぱくと開き、何かを言い出そうとして結局閉じる。そうして最後には、諦めたかのようにカウンターへ突っ伏して、すっかり何も喋らなくなってしまった。
ナツが不思議そうに彼女を覗き込む。が、それがすっかり逆効果であることに、ミラだけは気付いていた。何しろサラリと肩から落ちた髪の隙間、そこから見える彼女の耳は、面白いほど赤かったのだから。


(やだ、2人とも可愛いじゃないの。やっぱり、ナツは期待を裏切らないわね)


くすくす、2人に聞こえるボリュームでミラが笑う。今度ばかりは誤魔化しも隠しもせず、期待していた通りの展開にひとしきり笑った。


「ふふふ、そうね。確かにそれも…いや、それが正解だわ。だから今日はナツのお昼もチャラにしてあげる」

「っな…!?ミラさんっ!?」

「お、そうなのか?よくわかんねーけどサンキューな、ミラ!ごっそーさん!」


照れたルーシィを見、棚ぼた状態で喜ぶナツを見、ミラは満足げに微笑む。
そうそう、これだ、これが見たかったのだ。本当になんてからかい甲斐のある2人なのだろうか。


(あらあら、お礼なんていいのよ。寧ろ、こちらが貰いすぎなくらいだもの)


いい暇つぶしになったわ、ミラがそんなことを思っていたとしても、やはり彼女にツッコむ者は誰もいなかった。


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***
Ms.Perfume:ティアラ様より200000hit記念DLFを頂戴して参りました◎

ゆんもこういう書き留めて考えるの苦手。
NEHGLってなったけど…一番左がルーシィってことは眺めている人視点ってことから逆にすればいいのかな。
ミラさんには御馳走してもらえそうにないけどなっちゃんの素敵発言に溶けそうな程にやけたのでゆんは満足です。
第三者視点って感情移入しやすい、というか楽しくて仕方ない。
ナツルーは皆に見守られていればいいと思うのです。
この度は200000hitおめでとうございましたーーーっ!!!

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