「あ…あの、さ」
「んー?何だルーシィ」

ためらいがちに声をかければ、桜色の髪をふわりとなびかせてナツが振り返った。


immixture


声をかけたは良いものの、どう続きを紡げば良いのかわからずに、俯いた。

「えっと…」
「何だよ、言いたいことがあんなら言えって」
「……〜〜っ」
「ぅわっ!?」

言葉にするのも恥ずかしく、マフラーを掴んで勢い良く引き寄せた。
そして目をつぶったまま―…

「…………なぁ、何で鼻なんかにちゅーしてんだ?」
「………」

失敗、した。

「……何でも、ない」
「…?何だ、さっきから変なヤツだなー」

いくら恥ずかしくとも、キスは目を開けてするものだと教訓を得た。
昼間ギルドで“どうせ付き合ってても何にもないんでしょ”と言われ、何も言い返せなかった。ナツと付き合うことになったのに、一週間経った今でも、付き合う前と何も変わらなくて。
今日こそは!と思ったのだけれど、キスをねだるのも気恥ずかしく、さっきからナツの目の前で目をつぶったり色気を出そうとしたりと色々試して、そのことごとくが理解されないままに失敗して、もう実力行使しかない!て思って…今に至る。

「………もう、ごはん食べたでしょ。なら帰って」

マフラーを解放しながら溜め息混じりに言うと、“おーそうだな”と応える声が聞こえた。
……ナツは、付き合ってることをどう思ってるのかな。一緒に居るだけで、付き合ってることになる?
キスしたいって思うのは…あたしだけ、かなぁ。

「なぁルーシィ」
「え?」

ふと手を掴まれ、かけられた声に、伏せていた顔を上げると。
がちっ。と、音がした。

「〜〜いっ、痛い…!な、何!?」

状況を掴めずに涙目で見ると、顔をしかめるナツの真っ赤な顔がすぐ目の前にあった。

「……今、キスしようと、した?」
「………そーだけど」

吐息が交わる程の距離で、囁くように訊くと、視線を逸らしながらぶっきらぼうにナツが答える。

「…………もう一度、して欲しいな」
「………」

そっと言うと、今度は、ゆっくりと顔が寄せられる。
真っ赤になりながら、睨むように。
あたしたち、本当に全然ロマンチックじゃない。
だけど愛しくて。
そっと目をつぶった。



「ナぁツうぅーーー!!……………あ。」

窓から飛び込んで来た猫に、思わず目を見開き固まる。

「どぅえきてえぇ……」
「……うん、もう良いから」


***
champ de fleurs:なる様より相互記念に頂戴致しました!

immixture:混ぜること、巻き添え

グレルサイト様なのにゆんの為に初ナツルーを…っ!!
うわん、ありがとうございますー!!!

そしてそして、不意打ちでちゅーしようとしたナツのがちっ。
顔赤くしちゃうナツが可愛過ぎてどうしようかと思った。
全然ロマンチックじゃない、でも可愛くて温かくて。
そんなふたりが大好きv

なるさまー!
本当にありがとうございました!!

こんなゆんですが、どうぞ今後ともに宜しくお願い致します。


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