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ハイキュー (4/4)
猫の先生

「…繋心?」
「うげ!ってかなんでここにいるんだよ名前!」
「烏養くん知り合い?」
「名字先生、烏飼を知ってるんですか?」
「…し、知っていというか…ええ、まあ」

顧問をしている男子バレー部の合宿に去年同様に同伴することになった私はまさかの再会をした。それは宮城にいるはずの従兄弟の烏飼繋心である。バレーを学生時代やっていたのは叔母を通じて知っていたけど、なぜここにいるかは知らない。

「つうかお前先生してんのかよ」
「そっちは何してんのよ」
「…おふくろの実家の商店の手伝い」
「名字先生?」
「ああすみません。繋心とは従兄弟でして、私の母と繋心の母が姉妹で」
「へー、烏飼くんの。私は烏野男子バレー部の顧問で武田一鉄と申します」
「音駒男子バレー部顧問の名字名前と申します、前回の練習試合ではお世話になったと伺っております」

前回の宮城の練習試合には同伴しなかった理由は1年の灰羽リエーフが留守番だったからだ。灰羽が部活を休むのであれば私も同伴したが、部活をするというので顧問として学校に残らねばならなくなった。部活主体は基本的には監督とコーチであり、私は事務的なことをしているだけではあるが、部活として活動するなら必要な顧問でしかない。なのでどうやったら巧くなるかはよくわからない。

「じゃあなんだ、名字先生はあの烏養の爺と親戚なのか」
「一応、そうなりますね。でも血縁関係ではありませんし」
「自分だってジジイじゃねえか」

一触即発といういがみ合い。これは確か直井コーチから聞いていたヤツだから多分大丈夫だろう。コーチもハラハラしてはいるが止めようとはしていないし。

「今日もまた負かすからな!」
「へっ!前回と同じと思うなよ!!」
「行くぞ直井、名字先生。今日もまたウチが勝つからな、名字先生見とけ」
「はい監督。繋心に勝ってください」
「ぜってぇ勝からな名前!」
「はいはい」



「名字先生お疲れ様です」
「お疲れ様です武田先生」
「どこに行かれるんですか?これから食事会ですよ」
「うちの生徒の勉強を。春高のために勉学をおろそかにはさせられませんから」
「そ、そうですよね!私も手伝います、現国の教師ですし」
「そんな、うちの生徒の勉強を見るだけですし」
「何の教科の先生なんですか?」
「生物です」
「おーい、名字ちゃーん、まだー?」
「黒尾、先生つけなさい」

勉強を見る部屋から黒尾鉄朗が顔を覗かせてにやにやしている。彼はなぜか私にちゃん付けをして毎回毎回こうして私に注意させている。私も私で部員を呼び捨てにしているわけだからどっちもどっちなのだろう。

「あれ、烏野の先生も一緒?」
「武田先生は食事会に行かれるから残念ながら私一人です」
「ふーん?」
「あの、名字先生…」
「気にしないでください、私お酒飲まないので」

早くー。と急かされるので武田先生には申し訳ないが音駒の三年の勉強部屋に入って戸を閉める。猫又監督も直井コーチも去年と同じで私が生徒の勉強を見るのを理解してくれているし、この合宿に参加している他の学校の生徒の具合が悪くなった時のための保険役でもある。

「烏野の先生?」
「武田先生ね、って犬岡までいるの?」
「はい!名字先生、数学教えてください!」

そういえば犬岡の数学担当の先生から言われていた、「犬岡くん今回の数学の点数がよくないので顧問の方からもお願いします」と一年の学年主任から。あの学年主任はいやにねちっこい性格で職員の間では有名だ。だからって言って、ただの部活顧問に言われて持っていうのが正直なところなのだが。

「数学担当の先生から言われてるからな…犬岡」
「はい!」
「問題集はもってきてるの?」
「あります!」
「名字先生、こっちもー」
「海はいい子だ、先生って呼ぶ…」
「名字ちゃん先生」
「はいはいはい、もう勉強開始、わからないものは挙手して」

元気よく上がる犬岡の手。犬岡、知っているか?私は生物教師なんだぞ、高校一年の数学は過去の出来事なんだぞ。一応数学はまだ好きな方だったからいけるだろうかと犬岡の隣に座り、犬岡が「ここ、ここ」と指さす問題を見る。

「この例題と同じにしたらいいんじゃないの?」
「どうしてここが6になるんですか?」
「ここと、ここが、こうなって…次にこれとこれが、そうなって、最後に6」
「おお!じゃあじゃあ、これだと、こことここが、それになって…えーっと」
「名字ちゃーん、こっちもよろしくー」
「黒尾、先生つけて」
「名字先生、次」
「夜久はちょっと待ってね」

次々と手が上がるものの、私の本業である生物がないとはどういうことだ。まだ英語とか国語がないだけマシかもしれない、私は正直そういった文系が苦手だったからだ。ここでもしそういった質問がきたなら対処できない。それは一応部員も知っているのでたぶん大丈夫だと思うが、もしきたら今回は烏野の武田先生頼みだ。

「で、この公式を当てはめるからここが、こう」
「あーあーあー、そういうこと」
「そういうこと」
「名字先生!これはー?」
「犬岡、夜久の次!待ちなさい」
「ちょい待ち名字ちゃん、そうなるとこれって」
「そうそう、今度はこれを使うから…」

消灯時間30分前までその勉強会は行われ、終わって風呂に入るころに大人組の食事会が終わったらしい。

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