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ハイキュー (3/4)
逃げるな苦手

「山本くん」
「はひょう!」
「これ、部活の予定表」
「あ、あああんがと」


「ねえ研磨くん、私山本くんに嫌われることしたかな」
「…さあ」

私が入部した時からそうだ。山本くんだけは私に話しかけないし、私が話かけても変な声を上げてガチガチになってしまう。嫌われているのはなんとなくわかるけど、何か気に障ることをした記憶はない。もしかしたら、気づかないうちに何かしたのかと思って研磨くんに相談してみるけど、反応は思っていた以上に薄い。

「田中くんタイプだと思ったんだけな…」
「誰それ」
「前の学校の人」
「どうでもいいけど早く部誌書いてよ。帰れないじゃん」
「ああ、ごめん」

研磨くんは私に付き合って、というよりもゲームをしたいからという感じで部室にいる。でも私一人でやるよりは寂しくないし恐くない。昨日怖いテレビ見たのが原因で余計に怖かったけど、研磨くんのおかでそれは怖くない。
鍵はクロ先輩なんだけど、先輩は先輩でクラスの担任に呼び出されていていない。タイムリミットはクロ先輩が戻るまで。そうしないと部誌をお持ち帰りをしないといけない。今日は課題が多いんだよ…。

「お、しまい!」
「お疲れ」
「私選手、最後のねばりでフィニッシュです」
「名字て無駄口多いよね」
「え、そう…かな」
「うん。でも一人漫才みたいで面白い。内容はつまんないけど」
「……」

コーチは今日休みで、監督はもう帰ってしまった。今日は孫の誕生日だとニコニコしていたし、そのおかげで今日は少しだけ早く部活が終わった。
いつもおいてある場所に部誌を置いて、着替えるために制服に手を伸ばす。

「ねえ研磨くん、ここで着替えてもいい?」
「女の子なのにいいの?」
「じゃああっち向いて」
「…メンドいな」
「えっち」
「じゃあ更衣室行きなよ」
「だって誰もいないの恐いじゃん」
「…わかったよ」

ありがとう。と言えば、研磨くんは渋々後ろを向いて座る。
着替えると言っても、下はスカートだから簡単だし、上はまあ面倒だけど難しくはない。もそもそと着替えていればクロ先輩が部室に入ってきて早々に「名字もうちょっと考えなさい」と叱られた。

「更衣室一人だと怖いんだって」
「昨日怖いテレビ見ちゃって」
「もっと怖いことになるかもだろ」
「え?」
「えっ」

なんて話している間に着替え終わった。とりあえず、黒尾先輩には「女子更衣室を使え」と言われてしまった。
男子はいいな、ここで着替えられて。私もここで着替えたい。あ、でもやっぱり更衣室が良いかも。友達も運が良ければいるし、汗臭くないし。でも一人は怖いんだよね。

「で、名字は部誌終わったのか」
「終わりました」
「んじゃ帰るぞ。研磨、ゲーム止めろ」
「んー」


「山本はあれだ、女子が苦手なんだよ」
「え、そうなんですか」
「そうそう。あいつ女子マネができたって喜んでるくせに名字に話しかけらんない小心者なんだよ」
「意外!」
「たまにヘコんでるよ、名字に変な声だしちゃったって」
「それさっき言ってないよ」
「そんな話したっけ」
「したしたしたよ!」

三人でコンビニによって、ホットスナックをかじりながら話す。

「ま、嫌われてないってこと」

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