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pkmn (1/2)
ちいさなともだち

「ポフレ“フルール”です」

ポフレの入った箱を持っていつものように挨拶をする名前。足元にはお供のイーブイが同じく挨拶で一声鳴いた。
名前がポフレ専門店で働くようになってから数週間、やっとこの広いミレアシティにも慣れてきた。

「いつもお疲れ様、どうだい、ミアレは慣れた?」
「プラターヌ博士、いつも御注文ありがとうございます。そうですね、イーブイに案内されなくても店から研究所までは迷わなくなりました」

毎日来ててまだ迷っていたら本物よね。と女性研究員の人がふふふと笑って部屋を出て行く。
ここの研究所はポケモンの研究をしているらしいが、それ以上は名前は知らない。進化についてなのか、生態そのものなのか。
興味がないわけではないが、それ以上に名前には知らなければならない事が多すぎて後回しになっているのだ。まずここの地理を把握しないと配達も思うようにならないのが今の第一なのだから。

「それにしても君のイーブイは良く懐いているね。何に進化させる予定なんだい?」
「…進化、ですか?」
「ああ、そうさ。イーブイは進化ポケモンだろう?イーブイには様々な進化の道がある…って、知らなかったの?」
「あ、いや…あんまりそういうのは考えてなくて…」
「そうか。まあ進化させるさせないは名前の自由だし、イーブイもその時が来たら進化するさ」

そういうとプラターヌ博士は膝をついてイーブイの頭を撫でる。イーブイもいつもの事なので嫌がる事もなく、むしろ喜んで撫でられている。

イーブイの進化。プラターヌ博士は名前が進化させる事を考えていないと思ったようだが実際は違う。
名前はイーブイが何に進化するのか知らないのだ。ミルクチョコレートのような優しい茶色の毛並みで黒くて大きな瞳。触れはふわふわの毛並みで撫でればもっとと甘えてくるイーブイ。ポケモンは進化をするものが多く居ると店長から聞いているし、実際一緒に働いているポケモンも進化したものが大半らしい。急ぎのお客さまにはファイアローが飛んでいる。そのファイアローもヤヤコマという可愛らしいポケモンの最終進化系だ。

「イーブイの、進化」
「ん?」
「あ、いや…そういえば私、イーブイの進化ってどうなるかしらないなって」
「え、知らないの?イーブイ持っているのに?」

目を大きく見開いたプラターヌ博士は勢い良く立ち上がり、名前に迫るように近づく。その勢いに驚いた名前は一歩後ずさり、大人しくしていたイーブイは毛を逆立たせて威嚇のような格好をしている。どうやらイーブイも驚いたらしい。

「まずイーブイの進化には数通りあってね、石で進化するもの、懐きの具合よっての進化、そして」
「ああああ、すいません博士、私まだ配達があって…ねえイーブイ」

名前の言葉に頷くようにイーブイが一際大きな声で鳴く。いつもは喜んでプラターヌ博士に撫でれていたが、今の様子がおかしいのはイーブイにもわかったようだ。
プラターヌ博士は悪い人ではないのは名前もよく知っている。ちょっとした抜け道を教えてくれたり、店にきてポフレを買ってくれることもある。それにイーブイを可愛がってくれる。

「おっと、それはすまない。イーブイの進化に興味あるなら教えてあげるよ。今日の夜は暇かな。そうだ、この本なんてどうだい?イーブイの進化についての特集号だ。それにイーブイの進化系をつかっているポケモンジムリーダーの話もある。そもそもイーブイが進化ポケモンといわれる由縁を知っているかな?遺伝子が不安定で様々に進化が出来るところに始まるんだ」
「す、すみません…また今度で。行こうイーブイ。お客さんがまってるよ」

またよろしくお願いします!と急いで部屋のドアを目指す。もちろんイーブイも一緒に。
後ろでプラターヌ博士が何か言っていたような気がするが忙しいフリをして逃げてしまえ。それからはエレベーターに転がり込むように勢いよく乗って、1Fのボタンを強くおして。エレベーターのドアがしまってよくやく落ち着いた。イーブイを見ると興奮しているのか呼吸があらい。どうやらあのプラターヌ博士にはイーブイも驚いたらしい。

「大丈夫?ビックリしちゃったね」

大きな目が「本当だよね、名前は平気?」と言っているように見える。大きな耳がぴくんぴくんと動いては時折大きな溜息だ。

「さて、一回お店に戻って次の配達に行きますか。次はフラダリさんのカフェだね」

ちょうどよく開いたエレベーターのドア。
降りながらプラターヌ博士の「イーブイの進化」というワードが頭の片隅に残っている。

「イーブイの進化、か……ん?別に考えてないよ。私はイーブイが好きだからイーブイのままで良いよ。イーブイが進化したらしたで、私とイーブイは変わらないもの。ただ姿が変わるだけ」

甘えたようなイーブイが一声、それにつられて名前も笑って店に向かった。

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