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「#エロ」のBL小説を読む
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ハイキュー (1/4)
また明日

「うちの部活になんか用事?」

体育館の入口に女子がうろうろしていると、新部長になった黒尾が声をかける。するとその女子は少し驚いた様子で「あの、」と小さく声をだした。

「け、見学…しても、いい、ですか?」
「ここ男子だけど」
「大丈夫です、わかってます」
「…いいんじゃない?ちょっと待ってな」

監督ー!と初老というには少しだけ齢の行っている男性に声をかけると、ニコニコして「お嬢ちゃん、入っておいで」と声かけられる。小さくお辞儀をして、その人のところに駆け寄って「ありがとうございます」とお礼をいう。

「バレー好きなのかい?」
「あの、前の学校でマネージャーしてて」
「そうか、それで。おいお前ら!女の子が見学に来てくれたぞ!気合い入れろよ!!」

うっす!!と男子特有の低い声と運動部のドスに驚くこともなく、「よ、よろしくお願いします!」と返すあたり、さっきウロウロしていたのはタイミングが掴めなかったらしい。体育館の隅っこに行こうとしていると、監督が「近くで見なさい、そっちの方が面白いだろう?」と誘えば嬉しそうに頷いて監督の横に立つ。

「あれ、あの人」
「研磨知り合いか?」
「最近うちのクラスに来た人だ。転校生。確か、えーっと…名字っていった気がする」

試に黒尾が「おーい、名字さーん」と声をかけると、驚いた様子で「は、はい!」と返事が返ってきた。確かに名字というらしい。その名字といえば、監督に「名字何さん?」と聞かれ「名字名前です」と答えていた。


部活も終盤に差し掛かったころ、いつの間にかその名字は普通にマネージャーの仕事をこなしていた。こなすといっても、細かいことはわからないので、ちょっとした片付けやミニゲームの得点係りをしてみたり、監督に言われたことをメモに取っておいたりといった簡単な事だ。

「ねえねえ名字さん」
「あ、はい。えーっとクロ先輩…?」
「そいつは黒尾鉄朗だよ名字ちゃん」
「ああ、はい黒尾先輩」
「名字さんはこの部活入るの?」
「えっと…あの、その…」
「入ってくれるとうれしいなーって。なー、夜久も思うだろ」
「え、まあ、うん。いいんじゃないの?」
「海は」
「いいと思うよー」
「研磨は」
「………いんじゃない?」
「山本ー」
「は、はひぃ!!」
「福永!」
「いいと思いますー」

いきなりの勧誘、といっても見学を希望してきたのは名字である。ただ、こんなことになるとは思ってもみなかったので、驚いてただ「えーっと、えと、その、えー」となんとも曖昧な言葉だけが出ている。

「あとは名字さんが頷くだけっぽいんだけど」
「え、え、…あの、」
「どうする?」
「あ、明日」
「明日?」
「入部届、持ってきてもいいですか?」

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