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祓魔師 (3/5)
目隠し3

「お嬢、お加減どうですか?」

「ご飯持ってきました」

「柔造と金造やね。ありがとう」

竜士に連れ戻されてから大人しくしていた名前。
魔障を受けながらも意外と元気に過ごしている。それに関して医士騎士の称号を持つ者には不思議と言われ、寝込むのは最初の数日のみであった。
だから他の患者に比べ比較的元気に過ごしていた。


「二人はもう体ええの?」

「はい、元々魔障の被害はあまり受けませんで」

「良かった。久しぶりに二人の声聞いたわ。後は宝生三姉妹の声が聞きたいわ」

「ほな後で顔出すように言うときます。あいつらももう現場復帰やさかい」

「羨ましいわ、私も早よう皆の顔見たいわ。せっかく竜士も廉造も子猫丸もいるんやし…それに候補生の子らも見たいし」


はあ。と溜め息を漏らす名前。
そんな格好を見た二人は苦笑を漏らした。
名前は元々魔障を受けてはいないが、その存在を知っていたし、何より恐れていた。
元より優しい気質だった名前は誰かが祓魔師になると言うと悲しげな顔をしながらも応援してくれていた。それが必要な事だと知っているから。
それに常に前向きだった。
何よりも魔障を受けたとき、名前は父達磨を非難しなかった。
名前がもし志摩家か宝生家であったなら勿論非難はしなかっただろうが、名前は勝呂家だ。
実の父であっても娘ならば非難してもおかしくはない。


「ご飯は何?ええ匂いするわ」

「お嬢の好きな煮物ありますよ」

「ほんま?嬉しいわ。悪いんやけど食事手伝うて」

「…へ?」

「お、お嬢…?」

「私目見えへんから手伝ってもらわんと。あ、仕事あったん?」

「あ、いや…なあ、柔兄?」

「ああ…」


なんやの?と頭を傾げる名前。
確かに名前にしてみたら仕事があるならば仕方がないと諦める。
しかし二人からしたら問題はそこではない。
名前は女性で、しかも座主血統の長子。名前が養生している部屋に入るのも恐れ多いのだ。それに加えて食事など。
それに名前は二人を異性と見ていないようたが、二人にしてみたら名前は立派な女性なのだ。


「仕事なら仕方ないな…。見えんから食べられへんわ…」


くうぅぅ。と鳴く名前の腹。
その姿を見たら断る事も出来ずに食事の世話をする事にした。

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