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祓魔師 (2/5)
目隠し2

「なあ、お姉さんそんな所に座ってていいのか?」

「…?初めて聞く声や、何方さんやろ」


厄介者扱いをされてヤル気はあるがそれをぶつける場所がない燐。
どうせ何かないかと聞いても盥回しになるのは学習したので、せめて邪魔にならないように騒がしい所から遠ざかった。
そこで縁側に座っている女の人を見つけた。
その女の人は目を覆うように包帯を巻いている。
そうか、魔障を受けたのか。ならば寝ていなくていいのか?という疑問が浮かび、それを素直にぶつけた。


「燐。奥村燐。正十字高校の一年で、祓魔師候補生」

「あら、わざわざ遠いところ有り難う。私、勝呂名前いうんよ、勝呂竜士知っとる?その子の姉さんや」

「え!勝呂の姉ちゃん?!似てねえ!」

「包帯巻いとるのに私の顔かわるん?」

「…あ」


面白い子やね。と笑う名前に、見えないだろうが恥ずかしそうに笑う燐。
燐のイメージしていた勝呂の家族とは全員懸け離れている。
母親は美人で、父親はなんだか頑固とは程遠い性格みたいだったし、姉のイメージは無かったが落ち着いている。


「燐くんは何しとるの?」

「…やることなくて、聞くんだけど盥回し」

「そやの、それは大変や。なら私の話し相手になってもらえへんやろか」

「にゃー」

「…にゃー?猫、おるの?」

「クロがいる。あ、俺の使い魔」

「…使い魔。そう、使い魔おるん」


少し元気がなく無くなった名前に頭を傾げる燐。
最初は猫が駄目な人間かと思ったがそうでもない様子。
何故なら触らして。と手を伸ばしたからだ。
目の見えない名前に燐は名前の手を取ってクロの頭に触らせる。
すると名前は慣れた手つきでクロの頭を撫で、撫でられているクロは気持ちよさそうに喉を鳴らしている。


「猫、好きのか?」

「ん?動物が好きなんよ。目が見えるようなったら、見してね燐くん」

「なあ、その目どうしたんだ?他の魔障患者とは部屋違うし」

「これも魔障や。私な、魔障これが初めてなんよ。ただ目に負ってしもうたから、これが見えるようになるか解らんの」

「…あ、」

「気にせんでね。こうなったの私の不注意や。問題はこれからどうするか、ね」

「……」

「燐くん?」

「……」

「居らんの?」

「居るよ…」

「声が聞こえんかったから居なくなったかと思うたわ。私見えないさかい、ちゃんと反応して。今の頼みは耳なんや」

「ごめ…」

「ええよ、私さっきも言うたやろ?これからが大丈夫。これから燐くんが声くれたらいいの」

「…おう」


大変よくできました!と笑う名前に何だか少し複雑な気持ちになった燐。
この人も自分がサタンの子だと知ったら勝呂の様に言うのだろうか。
そう思うと何だか気持ちが重くなる。


「燐くんは竜士と友達?」

「…ちょっと喧嘩中」

「そう、仲良いの」

「いや、喧嘩中」

「喧嘩するんは仲良くないとできへん。だから二人は仲良しや。あの子真面目やから小面倒くさいやろ」

「……ちょっと」

「せやろ「お姉から離れぇ奥村!」…竜士?」


何事かと声のした方に顔を向ける名前と燐。
そこには勝呂竜士。名前の弟が凄まじい形相で燐を睨んでいる。
その只ならぬ空気を読み取ったのか、名前は少し戸惑っている。


「竜士?なんて声出しとるの。燐くん困っとるよ」

「いいから離れぇ!お姉、部屋戻って横なっとれ」

「勝呂…俺、別にただ」

「黙れ奥村!お姉になんかしてみい、タダじゃ済まさんからな!!」

「竜士、私いくらなんでも高校生に手ぇださんわ」

「お姉は黙っとき!」

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