鶺鴒 (18/21)
葦牙くんの憂鬱2
葦牙くんの憂鬱2
「いいなーいいなー名字くん」
「そんなに羨ましいならあげますよ」
「本当に?」
「ええ、いい「わけないだろ」…陸奥」
再び懲罰部隊に復帰することになった陸奥。
それも仕方ない、懲罰部隊筆頭の鴉羽の葦牙を自分の葦牙にしてしまったのだ。
拒否すれば出来ただろうが、鴉羽のプレッシャーに耐えられるだけの度量は陸奥にはなかった。
「やっほー陸奥くん。今日も格好いいね」
「そりゃどうも」
「ねえねえ、陸奥くん。ウチの子にならない?」
「ならない」
「名字くん鴉羽で手一杯なんだって」
「俺の葦牙は名前だ。壱ノ宮お前じゃない。名前が否定しても俺は名前に付き従う」
「わー熱烈」
確かに名前が鴉羽で手一杯なのは知っている。
正直驚いた、あの鴉羽が葦牙にベッタリだったのだから。
帰ればまるで親の様に名前の行動を見、風呂や寝室に侵入しようとして名前に怒られる。
それを呆気に取られていた陸奥に名前が「鴉羽が来ないように見張れ、阻止しろ。それが最初の陸奥の仕事」とある意味重大な役目を受けてしまった。
それからの帰宅してからは大変きわまりない。
名前のプライベート時間は陸奥が見張り、特に風呂は死守している。
「紅翼と交換してくれない?」
「紅翼か…紅翼壱ノ宮さん大好きじゃないですか」
「んー、こっちとしては陸奥くんの方が好みなんだよね」
「俺は名前が好みだがな」
「そっちの趣味はない」
自分はいたってノーマルだと主張する名前。
陸奥だって一応ノーマルのつもりだ。
壱ノ宮がそっちの気があると鴉羽から聞いていたが、どうやら本当らしい。
葦牙は男だが、親愛であって恋愛ではない。
名前は最初の粘膜接触を根に持ってるのだろう。
そういえば名前との接触し婚いだと鴉羽が知った時は鴉羽は陸奥の目の前で深い接触をしていた。
意外と鴉羽は嫉妬深い。
「セキレイって男少ないんでしょ?なんで名字くんのところなんだろ。名字くんノーマルなのにぃ」
「………」
「今からでも遅くないから、こない?」
「いかない」
「ね、名字くん。今夜陸奥くん貸して?」
「どーぞどーぞ」
「名前!?」
「やった!」
「ちょ…名前!お前そうしたら風呂鴉羽に乱入されるぞ、寝室も!」
「陸奥が来る前の日常だ。それに鴉羽もわかってる。ちゃんと命令すれば乱入しない。特に風呂」
遠い目をして、疲れた表情の名前。
じゃあ今までの俺の努力はなんだ!!と陸奥は叫んだ。
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