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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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鶺鴒 (17/21)
葦牙くんの憂鬱/陸奥

連載主人公(男)





「最悪だ…」

「そういうな、幾久しく」

「またセキレイとか勘弁してくれ…」


名前の「また」という言葉に眉をひそめる陸奥。
最初こそ男に粘膜接触されたことにショックを受けたのかと思っていたが違うらしい。


葦牙くんの憂鬱


「あれー?名字くん、彼、誰?」

「ああ…壱ノ宮さんお疲れ様です」

「誰だ?」


頭を傾げる陸奥。
名前に「これから本社行くから…」と連れられた陸奥、本社とは名前の会社かと思えばMBI。
そこが名前の勤め先だと理解すれば納得できた。
その陸奥を指さし壱ノ宮に「セキレイですよ…」と呟くようにいう名前。
そして二人は同時に気付いた「関係者か」と。


「へえ、名字くん二人目かー。いいな、男で」

「それならお譲りしますよ」

「二人目?…おい、名前、俺は二人目なのか?」

「そうだよ、ね、名字くん。あ、そうだ」


思い出したように「壱ノ宮夏朗、名字くんの先輩。よろしくー」と自己紹介をしたので陸奥も「No.05陸奥」と短く答えた。
どうも壱ノ宮夏朗が好きになれそうにない陸奥。
それは何故かわかないが、どうもこのノリが好きなれない気がする。


「またシングルナンバーか…凄いね、名字くん」

「シングルだろうがダブルだろうがトリプルだろうが、もう要らないですよ…」

「夏朗ー!」


きゃあっ。と言わんばかりにブリッコをしながら走ってくる一人の女子。
その格好を見て陸奥は少し警戒をした。

あの格好、懲罰部隊か。

その姿を認めた壱ノ宮が「廊下走る子キラーイ」というと素早く歩きに変えたその娘。


「げー、名字までいるし。…アンタ誰」

「陸奥くんだって。名字くんの二人目のセキレイ」

「ふーん。どーせたいしたことないんでしょー?」

「シングルナンバーだよ。ほら、紅翼も自己紹介して」


紅翼と呼ばれた娘はもの言いたげに壱ノ宮を見上げたが、大人しく従い陸奥に挨拶をした。
それを遠くを見るように眺める名前。
壱ノ宮に「大丈夫?」と聞かれれば「もう無理です勘弁してください」と譫言の様につぶやいた。




「おい、名前」

「…なに。」

「顔色悪いぞ」

「お前のせいでな」

「……一人目は、どんな奴だ?シングルナンバーなんだろ」

「さあ?よくわからない奴だよ」


名前のネームタグで開いたドア。
その部屋には見覚えのある姿。
正直会いたくない女で、コイツが名前のセキレイでないことを願わずにはいられない。
なぜなら、アイツは人を嫌い、殺戮の限りをつくした血生臭い、黒。


「ああ、おかえり名前」

「…ただいま。今日は厄日だ」

「No.…04」

「久しぶりだねえNo.05。名前、こっちおいで」

「鴉羽、陸奥は敵じゃない」


にこやかに殺気立つ鴉羽。
そうか。陸奥は自分の予想が当たったことを悟った。
鴉羽の葦牙はやはり名前で、過去に同じ懲罰部隊だった自分を見た鴉羽は自分の葦牙を守るためにドスを効かせた。


「落ち着け鴉羽、陸奥は…うん」

「No.05、速やかに名前から離れろ。自分の実力は君も分かってるだろう?」

「ああ、知ってる」

「離れろ」


その鴉羽の声の低さに溜め息した名前は「悪いな」と陸奥のそばから離れ、鴉羽の近くまで歩み寄った。
それに安心したのか鴉羽は名前を抱き寄せるように身を寄せ、再び陸奥に睨みを効かせた。


「で、何の用だい」

「別にお前に用はない。あるのは名前だ」

「返答次第じゃ…殺すよ」

「鴉羽、落ち着け。…陸奥は、な…」

「葦牙だ、名前は俺の葦牙だ。婚ないだんだよ」


驚いて目を見開く鴉羽なんてそうそう見れるものじゃない。

陸奥の言葉に驚いた鴉羽は名前に確認する。
本当にNo.05と婚いだのかと。

そして暫くの沈黙の後、名前は頷いた。

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