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鶺鴒 (4/21)
まとめ髪/鴉羽

連載主人公



「鴉羽、それ、暑くない?」

「え?」

「その頭、髪結んではいるけど首にかかるだろ」


名前が指したのは鴉羽の首のあたり。
正確には首にかかる髪。
どうやら名前はそれが気になるらしい。


「あんまり考えたことないからね、どうだろう」

「髪長いと暑いって大家さんとか、下宿仲間いってたから」

「で、その人達はどうしてたの」

「まとめて上げてたな」

「自分はこれ以上のまとめ方は知らないから」

「なら、やってやるよ」


チョイチョイと招く名前。
名前の手には髪をまとめるための櫛にゴム。
前々から思っていたのだろう、準備がいい。
鴉羽は少し苦笑してはいるが、名前が自分に構うことが少ないので大人しく従ってすぐそばの椅子に落ち着いた。


「意外と綺麗な髪してる」

「そう?」

「まあ、出雲荘組には劣るな。友達には勝ってる」

「それは喜んでいいのかな」

「褒めてる」

「ふうん。ねえ、名前。名前はなれてるの、こういうの」


まあね。と短く答える名前。
聞けば下宿先では手先が器用だった名前は度々女性陣の頭をいじっていたのだという。
それも回数を重ねれば自然と上達し、プロとまではいかないが学生時代の時には祭りなどがあると小遣い稼ぎていどに友達に施していた。


「久しぶりにしたから手間取った」

「そう?」

「前はもって手早く出来た。鴉羽の髪触るの初めてからってのもあるかもだけど」


ほら、と紅翼が忘れていった鏡。
鏡一つでは後ろは見えない。
なのでその鏡を持って大きな鏡のある所へ行き、合わせ鏡の様にして頭を確認した。
今までは後ろにダラリと垂れていた髪は頭の上部で綺麗にまとめられ、編み込みまでされている。
確かにこれならば背中にかからず、風にもなびかずに楽だ。


まとめ髪

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