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鶺鴒 (3/21)
世界からの離脱/結女↑続き

・子供主人公








ゆめちゃん、ずっと、ずうっといっしょね!


ああ、ごめんね名前。
大好きよ、愛してるわ、誰よりも。

世界からの離脱


襲撃にあい、奪われた個体No.88。
それを助け出したが既に機能停止目前。
この子を死なせる訳にはいかない。
この子はまだ出会っていない、葦牙に。
この子はまだ、沢山の素敵な愛に、想いに出会っていない。


「もう駄目だな、その個体は」

「…駄目ではありません」

「……ゆーちゃん?」

「私が、助けます」

「助ける…?まさか結女っ!?」


ごめんね、名前。
愛してる、愛してるわ誰よりも。
きっと、今生きている中で私は一番愛してる。
それだけは自信があるわ、絶対の。
でもね、私はその想いを、感情をこの子にも味あわせてあげたいの。
私が名前と出会って、愛おしく思ったこの想いを。


「駄目だ、やめろ結女」

「…鴉羽、名前をよろしくね。あの子、寂しがり屋ですから」

「あのガキなんてどうでもいい!結女、お前に死なれたら困るんだ!」

「…名前、愛してます。約束、破ってごめんなさいね。愛してます、愛しるわ名前」


最後に聞いたのは鴉羽の叫び声か、名前の声、それもあの約束だったか。
多分鼓膜を震わせたのは鴉羽。
私の心を震わせたのは名前の約束。

もう一緒にお風呂に入ったり、絵本を読んだり、寝たり出来なくてごめんなさい。
悪夢にうなされても起こして、抱き締めてあげられなくてごめんなさい。
私の葦牙にさせてごめんなさい。
でも、私の葦牙になってくれてありがとう。
私を好きになってくれてありがとう。
一緒にいたいって、言ってくれてありがとう。
名前の小さな口から私の名前が呼ばれる度に私の心は揺れたわ、満たされたわ。
何も返せなくて、ごめんなさい。

でも、今から、私が機能を停止したら名前はもう人よ、葦牙ではないわ。
それは私の葦牙ではなくなってしまう事だけど、私の葦牙だったという事実はなくならないわ。

泣いてしまうかしら、名前。
そうしたらきっと美哉が抱き締めてくれるわね。
あの子、名前には甘かったから。




「ゆめちゃん」

なあに?名前

「だーいすき!」

…私も、だーいすき!よ。


御題提供:濁声

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