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「#エロ」のBL小説を読む
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pkmn2 (17/20)
やりたかったことってなんだっけ

「……疲れた」

ナックルシティの宝物庫。ガイドをキバナが買って出てくれたので言葉に甘えてお願い下は良いものの、ジムトレーナーがかわるがわる名前に会いに来るのだ。
やれ自分は名前さんのジムチャレンジの時戦ったんだだの、キバナ様とのバトルすごかったです!だの。
名前がキバナに質問している時、応答している時を問わずにやってくるので少々名前もウンザリしたわけだ。だからと言って初対面に近いジムトレーナー達を邪険にするわけにもいかないから疲れる。
大きな溜息をつけば「どうだ?自分ちょっと有名人だっただろ?」と笑って言うのでそれにもまた大きな大きな溜息をついた。
ガラルに滞在するのもあとわずかとなったので、明日は自分の好きに回るからと先に手を打ったつもりだがまたキバナにロビーで待ち伏せをされそうである。
常々思うが、いくらオフシーズンとはいえジムリーダーは恐らく暇ではないはず。世話を頼んだはずはないが、こうも構われると仕事は大丈夫なのかと不安になるのが正直なところ。
何度か仕事は良いのかと聞いたがニパっと笑って「オレ様とジムトレーナー全員優秀だから」と言われて終わっている。優秀なのは良い事だが、どこまで信用していいのかわからない。まあそれが嘘だとしても名前には全く関係はないが、そのせいでこうなったなどと言われることはないが…まあ少し心が痛むと言うかなんというか。
そんな事がありながらスボミーインに戻ってベッドにダイブした。

「あ…そうだった」

ベッドから降りてバッグからコロコロとボールを取り出す。
ポケモンも狭いボールで疲れただろうと思い、順番に出してやると各自がグーッと伸びをして出てきた。アローラではボールの中よりも外で仕事をしているので、ボールが窮屈に思えるのだろう。名前が「狭かったね」と言えば頷く様な仕草をする。

「ごめんね、ここの部屋一人用だからあんまり広くないけど。病院行くのが終わればキャンプで自由にできるようにするから」

ご飯の準備しようね。と名前はポケモンたちの食事の準備を始めた。


翌朝、案の定キバナがロビーで待っている姿が見えた。
あの巨体なので変装していようが何をしていようが目立つので目に留まるのだ。
名前が多少逃げようとしたところで数日前の様に探されるの関の山、下手をしたら今度はナックルジム総出で探されそうな予感がした名前は大人しく「おはようございます」と挨拶をすることにした。なんだが敗北した気分だが仕方がない、時間の浪費と心の消費を抑えるためだ。

「飯は」
「ポケモンフードが少ないので買いに行きます」
「手持ちは全部揃ってるか?」
「今ですか?」
「ああ」
「勿論」
「じゃあターフタウン行こうぜ。あそこの野菜は美味いしフードも良いのが揃ってる」
「ターフタウン…最初のジムがある」
「そうそう。ターフタウンには石碑や地上絵がある、そういうの好きだろ」
「…はい…でも」
「ちなみに断るとうちのジムトレーナーが押し寄せる。自分が案内するってな」
「あー………」

キバナでさえ名前は正直困っているのにジムトレーナーはもっと困る。
恐らくいい人達なのだろうが、名前にとっては知らない人だ。そんな親切心を向けてもらう理由がない。まだ道に迷って聞いて答えてくれたならわかるが、そんな事をしてもらう理由が無いから余計に。
仕方なく黙って頷いた名前。不本意だが仕方がない。しかしターフタウンのその石碑や地上絵は気になるのも事実。
ポケモンたちには朝食を少し我慢してもらってからターフタウンに向かう事にした。幸い病院は色々な伝手でかなり名前に優遇してくれているので待つこともないし土地柄か朝早く開くところも多い。ジムチャレンジという文化があるせいだろうか。オフシーズンだというのに対応してくれるはとてもありがたい話だ。
病院で見てもらい、これならもう来なくて大丈夫だと思ったより早く言われた。ただ消毒と衛生管理だけはしっかりしておかないとと言われたが、病院に行く手間を考えれば十分だ。まだ包帯を外すことはできないが、まあガラルに居る間は仕方ないと諦める。
それからまたアーマーガアタクシーでターフタウンに行く。
ジム自体は一応開いてはいるものの、オフシーズンと言う事もあってやはり閑散としている印象だ。ターフタウンと言えば最初のジムがあるので一番多くのトレーナーが挑戦するジムで一番賑わっている印象が名前にはあった。

「おーい、ヤロー」
「ああキバナさん、お待ちしてました。名前さんですね」
「…名前です、えっと」
「覚えてますよ、貴女のファイアローでみんな一撃でやられたの。いやー、凄かった」
「……す、すみません……」
「何を謝るんです?今思えばダンデさんとあそこまで行く人なんだから当たり前ですね」
「…………」
「飯くわせてくれよ、ご自慢の。あとポケモンフード」
「はい、勿論。フェアリー、ドラゴン、ほのお、みず、色々タイプありますから選んでくださいね」

今の時期だとこの野菜がおすすめですよ。と食堂に案内されてメニューを出される。
いやまさかのジムリーダー直々で、だ。名前はただヤローに言われるがままにおすすめされたメニューをお願いする。
そしてポケモンたちのフードも言われるままにお願いして皆をボールから出して待機させる。名前のポケモンたちはキバナを見ると少し物言いたげな目でじっと見つめてから何か言おうとした瞬間キバナから目をそらした。

「……お前らな」
「嫌われているみたいですが、どうしたんです?」
「あ、気にしないですください。あの子たち私にちょっかいだす人間が好きなじゃいので」
「へえ…何したんですかキバナさん…」
「なんもしてねぇ…よ、多分」
「すみません、あのこのお土産用のクッキーってどのくらい日持ちしますか」
「それですか?全部製造から1ヵ月ですね、他にポケモン用もありますよ。売店はまだ開く時間ではないので…石碑や地上絵を見てからまだ来てください」

ちらっと名前がキバナを見れば、今度はキバナがサッと目線を反らす。
スムーズに来たのはあらかた予定を言っていたのだろう。ついでに名前が断らないだろうという事も予測して。

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