etc | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
pkmn2 (16/20)
待ち伏せる

怪我の経過観察が必要だと言われ、入院するほどではないからとキャンプをしようとした名前にそれは流石に許可できないと医師から言われてしまったので渋々スボミーインに泊まった名前。
出来れば節約としてキャンプで過ごしたかったが医師の指示には従わないといけない。
自分の身体の事は自分がよく分かるとはいうが、それは体調不良のクセがわかる事であって様態変化はまではわからないと名前は考えている。
帰りは案の定心配されたので自分でアーマーガアタクシーでホテルまで行った。
行った先で二人に待ち伏せされているとは思わなかったのだが。

「…………おは、よう…ござい、ます」

流石に早朝から動く気分にも体調にもならなかったので、食事をとって痛み止めと化膿止めを飲んでから行動を起こした。怪我も昨日の今日ではまだ痛みがあるし包帯を変えなければいけないのでまた病院に行かなければいけない。
昨日の時点で連泊すると伝えてあるので諸々の準備をしてから外出をする。
勿論手持ちのポケモンたちを持って。

「なんだよ今日は普通じゃん」
「キバナから聞いたぞ、昨日はキバナが大変だったって?」
「キバナさんは大変だったとは思いますが、私は私の休暇なので。誰かにどうこう言われる事はないと思っています」
「………きみ、アローラとはかなり違うくないか?」
「アローラはお仕事、ここは今休暇ですから」
「…………」
「な?」
「確かに仕事用の顔は必要だからな!うん。わかるぞ」
「元チャンピオンも大変ですね」
「まあな!で、これから病院だろう?送るぜ」
「お二人は暇なんですか?」
「今はオフシーズンだからオレ様はダンデに比べたら暇な方だな、次のシーズンの準備はまだ急ぐことはないし」
「昨日の件もあるからな…ニャースもきみに会いたがっているし」

名前が小さく「またバトルタワーに連れて行く気ですか」と言えば輝く笑顔をで「もちろん!」と返された。
ここ数回のやり取りで名前は抵抗しても無駄だと言う事を十分に理解したのでもう何もしない事にした。連れられるままに病院に行き、怪我を見てもらい、その足でまたバトルタワーに連れて行かれるとしても。




「ニャース」

ピャー!と昨日のニャースが嬉しそうに鳴きながら名前に寄ってきた。
どうやら全回復して食欲も戻り、苛立っておらず、レンタルポケモンとしても十分やって行けそうである。
どうも怪我をさせてしまった事を気にしているらしく、包帯でまかれた腕を頻りに見ている。
膝を折って姿勢を低くすると腕を撫でる様に触ってくる。今までアローラでも何度かあった事なので、どうやら地方によるのではくポケモンがやる行動らしい。

「元気になって良かったね、怪我は大丈夫」
「昨日からずっと気にしてたんだぜ?」
「名前さんのおかげであれだけ殺気だっていたのが嘘みたいです」
「次からドクターに診せてあげてください」
「ええ、これであれば」
「にしても、昨日とは全くの別ポケモンと言いたくなるほど違うな」

ペタッと名前にくっつくようにしているニャースが昨日と同じポケモンとは思えないスタッフとダンデ、そして。名前にしてみれば見慣れたものだが、あれは保護財団にいるから見慣れているのだと言う事を思い出した。
保護活動をしているかもしれないが、密度でいえば名前の方が断然に多い。
ニャースの様子も見たし、ニャース自身もこれからレンタルポケモンになるためのトレーニングがあると言うのでそこで別れる事となり、ニャースはまるで人間の様に手を振る仕草をする。それに合わせて名前も手を振ると喜んでいた。

「さて、オレは仕事があるから今日は付き合えないが二人はどうする」
「ナックルシティなら案内できるぜ」
「………では宝物庫が見たいです」
「お!いいぜ。やーっと案内が出来るな!」

パッと表情が明るくなるあたり、どうにかして名前をナックルシティに呼んで案内がしたかったらしい。アローラで世話になったからと言われるが、アレは名前にしてみれば社交辞令からでた仕事であって、ありがたがられるようなことではない。
仕事があると言ってバトルタワーに残ったダンデと別れてアーマーガアタクシーに乗り込み、ナックルシティへ向かう。初日以来ではあるが、このシティもシュートシティには劣るが大きい。

「そういやなんで宝物庫が見たいんだ?」
「空港で買った本にあったので」
「本?」
「これです」

病院の待ち時間に読もうともっていた本を差し出す。それを見たキバナが「ああ、ソニアの本か」と何やら納得した様子。

「著者の方をお知り合いですか?」
「ああ、ダンデの幼馴染のソニアって博士だ。その婆さんがダイマックスの権威のマグノリア博士」
「……博士一家なんですね」
「ダンデの弟がそのソニアの助手してんだ今」
「…トレーナーではなく?」
「まあな。チャンピオン目指してジムチャレンジしていたけど、今は博士目指して助手。で、その弟の幼馴染が今のチャンピオンってわけだ」
「その地域色が濃すぎでは?」
「オレ様もそう思う」

本を返してもらい、宝物庫へ。以前は急いでいて見る余裕はなかったし、何より知らなかった。何だけ堅牢な建物があるくらいの認識で走っていたので、存在は頭の隅にあったが次のジムの事だけを考えていたのだ。今思えば勿体ないが、前回であればこうしたガイドはいなかったので今回でよかったのかもしれない。

「キバナ様、お客様ですか?」
「…様?」
「キバナ様ー。ああ、客だ。名前に宝物庫を案内しようと思ってな」
「名前さん…あ、あの、もしかして名前さんて、何年か前に本選でダンデさんと一騎打ちまで行った、あの…?」
「そうそう、あの名前。この前アローラ行ったろ?そん時世話になって、今案内してんの」
「わ、私あの時の試合見てました!凄かったです!!あ、あのサイン…」
「………」

あまりの勢いに驚いてキバナをちらりと見上げる名前。
すると何処からかサインペンを出して名前に持たせ、書いてやれ。と言わんばかりに目線を送られる。

「あ、あの…ごめんなさい。私サインなんて書いたこと、なくて…人違い、ではありませんか?」
「え…?だ、だってあのダンデさんに一騎打ちまで…」
「そうその名前だ、合ってるぞ。ただ名前は別の地方出身でそういう文化がない。従って今オレ様が考えてやる!」

サインペンを持つ手を握られ、キュキュキュッとアレンジの入ったサインが書かれる。
どことなくドラゴンタイプのような字体。

「………私これはちょっと…」
「キバナ様…これほぼキバナ様のサインです」
「ガブリアスっぽくていいんじゃね?」

違うだろう。という無言の二人の抗議にキバナは「えー、そんな駄目か?」と逆に困っていた。

<<prev  next>>
[back]