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「#エロ」のBL小説を読む
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pkmn2 (5/20)
勝てないものもある

「お待たせしました、必要書類です」

書類に目を通してもらいからサインを記入してもらう。
ドラゴンタイプは他のタイプに比べ扱いが難しく、サインを貰ったうえでのエリア内に出るというのが決まりだ。キバナはドラゴンタイプの使い手なので扱いは上手いはずだが決まりは決まりだ。名前はここのスタッフなのでそれに従わなくてはいけない。万が一、という事もあるからだ。

「はい、では確かに。ではドアを開けますのでそこから」
「おう」

ドアのロックを外し、エリアに入る。
するとポケモンたちが誰?誰が来た?と寄ってくる。名前がいるとわかると興味なさ気にしていたポケモンたちまで見慣れないキバナに警戒しつつ姿を現し始めた。

「ガブリアス、ほら挨拶して」
「ほー、立派なもんだな。さっきのバトル良かったぞ」
「覚えてる?ガラルに行った時にバトルしたジムリーダーのキバナさん。ドラゴンタイプの」

ぐるる?と頭を傾げ、じーっとキバナの顔を見るガブリアス。しかしあまり記憶になるのか名前の顔を見てやはり頭を傾げている。

「覚えてないか…ごめんね、あの時ゆっくりできたらよかったんだけど」
「そういやルリナ達が言ってたな、カブさんのジム終わるとそれまでのジムリーダーが揃って見送りするんだが一人だけ見送る前に次に行った奴がいたって」
「あ…それ私です…期間限定のチャレンジだったので…」
「期間限定?まあ確かにジムチャレンジは時間勝負だけどよ」
「私にとっての、期間限定だったんです」
「あ、さっきの奴が言ってたポッと消えて戻ってきたってやつか。まあ仕事してるとそうもなるか」

ここのリーダー格なっている名前のガブリアスがいるのだから安心だと思ったのか、警戒していたポケモンたちものそのそと寄ってきた。
一応は人馴れをしているが、人間すべてになれているわけではない。それに人間に馴れすぎてもいけないのだ。誰かがトレーナーになってくれるのならまだしも、そうでないポケモンが大半だ。そういうポケモンは自然の中で生活をする。誰かに助けてもらうばかりでは命を落としてしまう、なのでなるべく頼らなくても大丈夫であるようにと接せねばならないのだ。

「お、ヌメラじゃん」
「その子は明日自然に戻る予定なんです、怪我をしていたのが治りましたから」
「よかったなー」
「ただちょっとヌメラだからかもしれませんが、少し気が抜けてて…ちょっと心配です」
「ははは、ヌメラは仕方ないな。それでもドラゴンタイプなんだ、どうにかなるだろ」

ヌメラ必死に名前たちに近寄って来ようとしているが、足が遅いのでなかなか進まない。
それを笑ったキバナが自分から近寄ってよしよしとヌメラの頭を撫でた。
それにはヌメラも驚いた様子だったが、名前が「よかったね」と言えば「そうかも、うれしいかも」とにこっと笑った。

「いい粘液しているな」
「健康体ですから。あちらにはフカマル達が集まるエリアがありますし、あっちはヨーギラス、数は少ないですがミニリュウも今保護しています」
「……ナックラーは?」
「ナックラーは残念ですがドラゴンタイプがまだ付いていないので、じめんタイプのエリアに今1匹います」
「あーそうか、まだついてなかったか」
「そうなんです」

エリア内に居るドラゴンタイプを見て回っていると連絡端末が鳴りだした。
一応ではあるが緊急の場合があるのでキバナに一言断ってから確認すると相手はククイ。どうしたのかと応答ボタンを押すと見学が終わったら応接室に来てほしいという事だった。どうやらあの三人の話が終わったらしい。
そのことを伝えるとキバナは「じゃあ戻るか、ここのポケモンたちも見れたしな」と頷いたので名前は応接室に戻る準備を始める。

「ガブリアス、皆の事よろしくね」
「しかしこのガブリアス、本当よく分かってるな。ガラルのポケジョブでもこんなしっかりしているポケモンなかなかいないぞ」
「ここで保護したので、人間の仕事をよく見ているからかもしれません。私の後ろをついて来ては見てましたから」
「名前の事大好きだったんだな」
「自然に返す時に予備で持っていたか空のボールを落としてしまって、そこに駆け込んだのが当時のフカマル…あんなに早く走るフカマル初めて見ました…」

確かによく懐いてはいたが、まさかあんなことになるとは…と名前は今でも思い出すと苦笑がでてしまう。
その件で一応は報告したのだが、「ああ、やっぱりね。こうなると思っていたわ」なんて言われてしまった。どうやら名前以外のスタッフ達も薄々そうなるのではないかと思っていたらしい。あのフカマルの後追いや懐き方からして大人しく自然に戻るとは思えなかったとよく言われる。
確かに名前は比較的懐かれる事はあるが、あそこまで懐かれるというもの珍しい。
そんな話を知ってか知らずか、今現在のガブリアスは自分の足元に集まっているポケモンたちを見ている。
そのガブリアスに手を振ってエリアを出る二人。ガブリアスの話をしながらダンデ達がまつ部屋に向かう。

「戻りました。」
「やあ名前くん、アローラ久しぶりだね。彼がキバナくんかな」
「アローラ、ハラさん。ガラル地方ナックルジムのジムリーダーのキバナさんです、ドラゴンタイプの使い手なんです」
「どうも、キバナです。ハラさん」
「アローラ、キバナくん。歓迎しますよ」

な、アローラって地方の名前じゃないのか?
アローラは挨拶でもあるんです。
とこそこそっと話すと、それに習って「あろーら」とぎこちなく挨拶するキバナ。
それに対してニコッと笑うハラ。ぎこちなくても挨拶をしてくれるのは良い事である、という事なのだろう。コミュニケーションがとれたということだ。

「二人とも座って」
「いえ、私はこれで」
「実はダンデくんには今夜我が家に泊まってもらう事になったんだが、キバナくんと名前もどうだい?」
「え、いいんですか?」
「勿論だとも!バーネットも喜ぶさ、名前も、な?」
「いや、でも…ご迷惑では」
「大丈夫!バーネットが名前のガラルでの様子を二人から聞きたいって言っていたんだ」
「そ、それは聞き捨てならないのですが!?なんで私!?」
「ガラルでの話をもっと聞きたいと思ってな!それにバーネットにはもう伝えてあるから心配はしなくていい」
「…どうしてこういうときだけ連絡と報告は早いんですか…?」
「ぐ………」
「上司にえげつねえな…」
「いいじゃないか。オレたち三人でカレーを作ろうじゃないか。楽しいぞ」

わはは。とダンデは名前の心配や迷惑をかけてしまうという懸念を全く考えずに笑った。

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