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pkmn2 (2/20)
ここか天下のエーテル財団

「本当に来てくれたんですね!」

施設内でポケモンたちの健康チェックをしていると受付まで呼び出された名前。
お客様だと言われたが、正直名前には職場まで会いに来てくれるような人はいない。いや、居るには居るのだが、今現在アローラにはいない。知り合いの大体はここ、エーテル財団の関係者だ。外にも居ることはいるが。
不思議に思って行ってみれば、数日前に空港でであった二人の男性だった。

「お、白衣じゃん」
「はい、ここの職員なので」
「名前さん、応接室をお使いになりますか?」
「あ、いいえ。お二人は施設内を案内しますので。どうぞ」

先導するように歩く名前。そしてその後ろを歩くダンデとキバナ。
普段も一般人が訪れて見学するのだから名前がそれをしても何ら問題はなく、スタッフたちもごく普通に挨拶をして仕事をしている。

「ここエーテル財団では様々なポケモンを保護し、また自然に返すという仕事を行っています。自然に返して生活が送れないポケモンはそのまま保護という形ですが、基本的には自然に返す事を目標に施設内のポケモンたちの怪我の具合、健康チェックを日々行っています」
「ほー、すげえな」
「君のポケモンは?」
「私のポケモンもここのスタッフとして一緒に働いています。お二人を迎えに行く時にニャオニクスには仕事を代わってもらいました。他の子たちも自分にあったエリアで保護したポケモンの世話などをしています」
「ポケジョブみたいなもんか」
「ここアローラではガラルのようなジョブはないんです。私のポケモンがあのジョブを経験して自主的にしてくれて、他のポケモンたちはしないんです。ここのエリアはもうすぐ自然に戻れるところまで回復したポケモンたちがいます、今は訓練中です」

財団の説明、目的、そしてエリアの説明。
たまにだが団体の案内役をすることもあって言葉だけはすらすら出てくる。
ガラルにはいないポケモンや、アローラのすがたのポケモンいれば説明をしながら施設内を歩く。
さすが元チャンピオンと現ジムリーダーだけあってポケモンの扱いも着眼点も名前が案内していた人とはちがうものがある。

「名前、アローラ。お客様か?」
「アローラ、ククイ博士。紹介します、ガラル地方の元チャンピオンのダンデさんとガラル地方ナックルジムリーダーのキバナさ」
「元チャンピオンにジムリーダー!!??」
「…は、はい。えっと、こちら、ククイ博士です。博士は今までアローラにはなかったジム戦、リーグ戦の創始者でして…」
「どうも!ククイです!!チャンピオンとジムリーダーなんですね!お話よろしいですか!!?」
「えー…」
「ククイ博士だっけ?オレたちオフなんだけど?」

名前が紹介すると食い気味に迫ったククイ。
それも仕方がない。ここアローラではジムやリーグというものはなく、今までは島巡りという風習でポケモンバトルがあったのだ。それをどうにかアローラでジムとリーグというものをでき仲と画策してやっと現実になった。なのでアローラでのジムやリーグというものはまだ歴史が浅く、そして人々にもまだ馴染みは深くない。テレビ放送されているバトルを見たという人は多いが、生で見たという人はほんの一握り。
そういう文化の違いもあって、特にククイはチャンピオンやジムリーダーという存在には人一倍敏感になっていると言ってもいいだろう。

「は、博士。お二人はオフで見学に来られていまして」
「博士はジムやリーグに興味がおありで?」
「ええ!ここアローラにはジムが無いのはご存じですか?」
「確かにみませんね」
「実はですね」
「……博士!立ち話も難ですし、ここは応接室を使いましょう。保護区域が見える場所が確か空いていたと思うのでそちらに案内します。キバナさんも応接室でお話を聞きますか?それとも施設内の案内をしましょうか」
「そうだな、施設内見せてもらうわ」
「すまないな、名前…」
「いえ。私もククイ博士に知らせようと思っていたので。それでは応接室までご案内します。キバナさんも申し訳ありませんがお付き合いください」
「おう。名前も大変だな」

ハハハハ…とククイが苦笑する。どうやら迷惑をかけたという自覚はあるらしい。
名前に先導されて応接室に行くと大きな窓からは先ほど見ていたエリアがよく見える。あそこは間近、こちらは遠くまで見渡せるというだろうか。視界か開けて先ほど見えなかったところにポケモンたちがいるのがわかる。
ククイ達がソファに腰掛けるとドアがコンコンとノックされ、そのドアが開くと名前のニャオニクスがお茶を持って来ているではないか。

「ありがとう」
「それ名前のニャオニクスだな?前に戦った」
「はい。お茶だけはなくてコーヒーも淹れることができるんです。教えたらすぐ覚えてくれて、今では私より上手なんです」
「へー、これもジョブのおかげか?」
「それもあると思います。ポケモンセンターのカフェの子を見て憧れがあったのかもしれませんけど。私はとっても助かります」
「確かガラルにはポケジョブというものがあるんですよね?名前から聞きました」
「キバナさんはお茶飲まれてから行きますか?」
「そうだな、飲んだら行くか」

ニャオニクスが持ってきたお茶を配り終えた名前はニャオニクスに「ククイ博士とダンデさんをよろしくね」と言いつけた。
名前はニャオニクスにここを任せるらしい。ククイの方もそれには気にする様子もなくダンデと話が盛り上がっている。

「なあ名前」
「はい、なんですか」
「他のポケモンは何してんだ?」
「先ほど話したようににエリアでポケモンの面倒をみたりしてます。ニャオニクスとニンフィアは私の仕事のサポートをしていますけど、たまにエリアで仕事もします」
「ほー。ここでポケモン勝負できる場所は?」
「もちろんあります。そうだ、バトルロイヤルはご存じですか?」
「いや?」
「バトルロイヤルする!?そうだ、ダンデさんもしましょう!あと一人は名前どうだ?」
「いえ、私は。ザオボーさんがいいのではないでしょうか、博士と戦えると知ったら走ってきますよ」
「とこで、そのバトルロイヤルとは?」
「ああ、それは」

とキバナとの会話を遮って入ってきたククイ。
バトルロイヤルといえばロイヤル仮面、ロイヤル仮面といえばククイだ。
この地方にはそういうものがあるのだと説明しようとした矢先にこうだ。でも説明するより戦った方が早いのは確かだ。それに名前が説明するよりククイの方が上手いだろう。
ククイの説明にだいたいの流れを把握して二人は目が輝きだし、断然乗り気になってきた。
こうなっては止められないだろうと名前は諦める。それを察したらしいニャオニクスが名前の白衣の裾をチョイチョイと引っ張って、まるで慰める様に瞬きをした。

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