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大神 (15/15)
シュバっと、

「ロ…ロケット…?」

えええ…なんでもありかよ…という名前の独り言はロケットが発射される音でかき消された。
笹部卿でなぜかロケットの発掘が始まり、それをアマテラスが手伝うと何故かロケット。何故かロケットが出来た。それに対してただただ驚くしかない。
それに乗り込む前にカグヤと竹取翁があついあつい抱擁をしてそのままロケットに乗り込むのか思えば、くるりと名前に向き直ると今度は名前の手を握り、「また、またいつかお会いいたしましょう」と言われた。

「お嬢さん、カグヤとお友達だったの?」
「お友達…というか、つい最近西安京で、初めて会いました」
「そうなの!?とっても仲良しさんなのかと思ったよ…うふふ、あの子にお友達かって、思って…うう」
「あ、で、でも!もうきっとお友達ですよね!きっと、多分!」
「どっちでぇ…」

呆れた様な声でいうイッスン。
ここで友達を否定してはなんだか竹取翁が可哀想な気がして名前はとりあえずではあるが肯定をした。あそこまで熱い別れをして、友達でもなんでもありませーん!とは流石に言いづらい。

「ふふふ、ありがとねぇ…お嬢さん」
「………」
「名前姉、行こうぜ。西安京でまだオイラたちはやらなきゃ駄目な事あるだろ?」
「う、ん…それじゃあお爺さん、また」
「うん。気を…気をつけるんだよ…うううう…カグヤ…うう」

それからすぐさま西安京に戻るとイッスンから「ちぃとばかし危ねえからよ、名前姉はここまでな」と庶民街で降ろされてしまった名前。
それならば笹部卿で待っていてもいいのではなかろうかと思ったが、それいうとなんだか悪い様な気がしたので名前は黙って頷いた。笹部卿で竹取翁と一緒にいてもなんだか気が滅入りそうだ。

「…あ、」

霧が晴れている。と名前が気づいた。
道行く人の顔色は良いし、あの時より賑やかになっているのは思い違いではなさそうだ。明らかに外に人が出ていて晴々している。
あの時はアマテラスたちと再会するまでほとんど外には出いなかったから、少しばかり観光とはいかないが、あたりを歩いてみるのもいいかもしれないと名前は歩き出した。

「ヘイ名前君、その着物似合っているじゃなか!ミーの見立ては間違っていなかった様だ」
「…………」
「うん?」
「それ、毎回してるの?あと一応ありがとう、色々と」
「ふふん。そんなお礼を言われることはしていなさ」
「?」
「これはミーがしたくてしている事だからね、ユーは気にしなくていいんだ」

うんうん。と一人で納得しているウシワカに名前はただただ頭を傾げた。
名前が思うに、別に女好きという印象はない。イッスンの受け売りではないが胡散臭いとは思うが。だからと言って信用ならないわけではないだろう、一応あの毒霧の中で休憩できる場所を提供してくれたし、アマテラスたちとは別になったとはいえ居場所をくれたのだ。

「アマテラスなら」
「ヒミコ君の所さ」
「卑弥呼?」
「ミーたちは戦わなくてはいけないからね」
「……妖怪?」
「その王と、ね。お腹は減っていないかい?」
「大丈夫」
「……そう」
「うん」

ばったり会ってしまったが最後、ではないが、どうやら名前に付いて行くつもりらしい。アベノがよく「ウシワカ隊長ウシワカ隊長」とどんなに凄い人かを力説してくれてはいたが、名前にはどうしても胡散臭く感じてしかたがない。
だからと言って付いてくるなと言うほど嫌っているわけではないのだが。しかしこうも付いてこられるとなんだか不愉快であるのは確かだ。
歩いてはちらりと後ろを見ると、それに気づいたウシワカが「うん?」という反応をするばかり。恐らく名前が「ついてくるな」と言ったところで結果は目に見えている。

「陰特隊は何してるの?」
「西安京と十六夜の祠の警備だよ」
「警備してるのにヤマタノオロチ復活するしあの霧でたの?」
「………」
「警備って、なにしてるの?」
「警備だよ…」
「霧はまあ原因何か知らないけど。予言じゃわからないの?」
「………おっと、そろそろ行かなくては。じゃあね!」

だんだんと顔色の悪くなるウシワカ。どうやら名前は聞いてはいけない部分を聞いてしまったらしい。だからといって手を緩めるわけでもないが、さらに鋭くなる前に撤退を決めたらしいウシワカは「バイバーイ!」と走り去った。

「………」
「名前姉!」

イッスン?という間もなく、またアマテラスにくわえられ、くるんと回されて背に乗せられ。
「うわわわ」と言っている間に西安京を駆け抜けて都を出てしまった。

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