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夏目友人帳 (6/6)
風と新たなモノ

 

「珍しいな、夏目。友達か」


夏目の家に遊びにきて、課題をやっていたときの事だ。
風が吹いたあとに何かに呼ばれた様に夏目は振り返った。


「…夏目?」

「あ、ああ。妖だ」

「名前を返してほしいっていう、アレか?」

「いや、それとは違う妖だ」


夏目は俺には見えない妖を目で追っている。
ただ、俺には少しも見えない。
影も、形も。


「ああ、田沼だ。前に名前にも話したろ?少し妖を見る奴のこと」

「ほう、コイツか」


端から見たらきっと変なのだろう。
夏目が一人で喋っている。


「タヌマ、私の姿が見たいか?」

「名前?」

「そこにいる妖は名前っていうのか?夏目」

「…田沼、名前がお前に「私の姿が見たいか?」って」


不意に言われた一言。
急に聞かれた質問にただ俺は頷いた。


「………っ」

「妖を見るのは、初めてじゃなかろう?」

「…でも、こんなハッキリ見たのは初めてだ」


夏目の隣にはとても綺麗な馬にも鹿にも似た妖が居た。

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